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【瑞祥誕生秘話】歴史ある上山田のお湯からこだわりの食事まで。何でも“たっぷり”な瑞祥の魅力に迫る

千曲市瑞祥

信州には本当にたくさんの温泉がありますよね。

これまでSkima信州でも、県内のさまざまな温泉を紹介してきました。山奥の秘湯の宿から、街中のひなびた共同浴場までいろいろ。温泉が身近にたくさんある信州では、気軽に温泉を楽しめる日帰り温泉の施設も多いです。

千曲市の上山田温泉にある「湯の華銭湯 瑞祥 上山田本館」はそのひとつ。上山田では唯一の、温泉も食事も楽しめる日帰り入浴施設です。

今回は温泉好きな学生ライターの町田が、瑞祥の魅力をインタビューしてきました。

瑞祥の魅力は何といっても、スーパー銭湯のように何でもそろう充実した施設でありながら、お湯は温泉マニアでも満足できる掛け流しの極上湯だということ。お湯そのものを楽しめる温泉施設だと思います。

瑞祥を知らなかった方はもちろん、常連さんでもますます好きになれる、そんな瑞祥の魅力を“たっぷり”と伺うことができました。

歴史ある上山田温泉の日帰り温泉「瑞祥」

瑞祥は上山田温泉の温泉街の中にあります。

上山田温泉は千曲市にある長野県屈指の大きな温泉街。近くの戸倉温泉と新戸倉温泉、それに上山田温泉を総称して「戸倉上山田温泉」と呼ばれています。

開湯から120年近くたつ歴史ある温泉は、信州随一の華やかな温泉街として発展し、善光寺参りの精進落としの湯として栄えた歴史もあります。

瑞祥はその上山田温泉のお湯をぜいたくに使った日帰り温泉です。名物の岩風呂をはじめ、露天風呂や壺湯、寝湯やサウナといったバラエティ豊富な浴槽が自慢。

他にも食事処や休憩所もあって、一日ゆっくりとくつろぐことができます。スーパー銭湯のような充実した施設であり、お湯は上山田特有の硫黄泉。マニアの僕にとってもたまりません!

《温泉 基本情報》

【上山田温泉 湯の華銭湯 瑞祥 上山田本館(ゆのはなせんとう ずいしょう かみやまだほんかん)】

泉質:単純硫黄泉
泉温:45.5℃、44.8℃
加水:なし
加温:あり
還流:掛け流し(一部循環併用)

住所:千曲市上山田温泉2-18-8
電話:026-275-4321
料金:大人680円/小人350円/幼児100円/3歳以下無料
営業時間:9:00~25:00(平日)、6:00~25:00(土日祝日)
定休日:第3火曜日
公式ページ:https://zuisho.com/

瑞祥誕生秘話。名物の岩風呂がきっかけだった

今回インタビューを伺ったのは、瑞祥を運営している山﨑建設株式会社の専務をされている山﨑美紀さんと、事務をされている娘の山﨑紫央さん。お二人から瑞祥の魅力について、たっぷりとお話を聞くことができました。

専務の山﨑美紀さん(左)と娘の紫央さん(右)

ーー今日はよろしくお願いします!さっそくですが、瑞祥誕生にいたる経緯を教えてください。

山﨑さん:うちはもともと建設会社なんです。ここには吉松旅館があって、取り壊しを頼まれたのがきっかけ。父である社長がこの岩風呂を見て「こんな立派な施設を壊してしまうのはもったいない!」と思って買い取ったのだそう。

ーーこの岩風呂はもともと旅館のお風呂だったんですね!

山﨑さん:はい。岩風呂とかの一部は残して、後は壊しました。まさか建設会社のうちがお風呂屋さんをやるとは思っていなかったです。最初は今のようにお食事や休憩処はなく、お風呂だけやろうと思っていたみたい。

当時(平成11年)はスーパー銭湯が流行り始めたころ。マッサージやあかすり、軽いお食事処なんかも併設しました。

ーー旅館のお風呂に日帰り入浴できるなんて贅沢…!

山﨑さん:今同じ浴槽を作ろうとしても、無理なんじゃないかなあ。そのくらいぜいたくな作りになっています。

瑞祥の看板ともいえる名物の岩風呂

10トンはあろうかという巨石がゴロゴロと立ち並ぶ岩風呂。まるで洞窟の中にいるような気分になります。

旅館の趣を残した「和」のつくり

山﨑さん:オープンした時は、内湯とジェットバスと露天風呂、男女それぞれひとつずつしかありませんでした。2年後(平成13年)に露天風呂と食事処を増築したんだったかな。

ーー少しずつ増やしていったのですね。

山﨑さん:最初は本当に小規模だったのですが、需要があるということで少しずつ増築していきました。

ーー瑞祥といえば、あのバラエティ豊かなお風呂が魅力だと思います。どなたのアイデアなんですか?

山﨑さん:建設会社ということもあって、基本は社長が考えていますね。

ーー社長さんは、やっぱり温泉が好きで瑞祥を始められたのでしょうか。

山﨑さん:ん〜どうだろう(笑)でも上山田の人間なので、温泉は身近なものだったと思います。

ーーなるほど、地元の温泉施設。上山田の他の施設には無いような、瑞祥だけのコンセプトはあるのですか?

山﨑さん:やっぱり「和風」ですよね。あとは天井を高くしたり、広い空間を意識したつくりにはなっていると思います。もともと旅館だということもありますね。

ーー旅館だったころの趣を残した造りなのですね。

上山田から天然温泉を毎日直送。松本館へのこだわり

ーー平成16年には松本館が新たにオープンしました。どうして松本館を作ることになったのですか?

山﨑さん:何年か松本に住んでいた時期があったりおばさんが松本在住だったりと、松本にはもともと縁がありました。商業施設の一画に建てないかと話が来たときにも抵抗はありませんでした。

松本館 外観

ーーわざわざ上山田から温泉を運ぶなど、こだわりがあるように感じます。

山﨑さん:そう、温泉にはこだわりたくて、それならこっちから運ぼうということになりました。

ーー上山田はお湯が豊富ですもんね。

山﨑さん:上山田の千曲源泉がもったいないほど溢れているのを社長が知っていて「このお湯を分けてくれないか」とお願いしたそうです。結局それを松本に運ぶことになりました。

ーー毎日運ぶのは大変だけど、天然温泉にはやはりこだわりを感じます。

上山田温泉の上質な硫黄泉を掛け流しで。ホンモノの温泉の魅力

ーー先ほども温泉に入ってきましたが、掛け流しで新鮮ないいお湯でした!

山﨑さん:ありがとうございます。上からお湯が溢れてるでしょ。毎日お湯を抜いて入れ換えてもいるんですよ。

豊富な源泉を贅沢に掛け流しで使用

ーー少し濁ったお湯でしたが、日によってお湯の色が変化することもあるのですか?

山﨑さん:日によっても、時間によっても。朝は透明だったけど、昼ごろに見たら白くなっているとか。

ーーおもしろい。マニアにはたまりません!

青っぽく濁るときも

ーーアルカリ性のお湯ですよね。お肌がすべすべになりました。

山﨑さん:「美肌の湯」って言われてますからね。お客さんの中にも「いいお湯だった~」と言って帰っていく方も多いです。上山田はお湯の良さではどこにも負けないと思う。

ーー普通のスーパー銭湯だと思って来た人は、びっくりするレベルかと。

山﨑さん:今は温泉らしい匂いはしない温泉も多いじゃないですか。ここは硫黄泉なので温泉らしい匂いがする。何といっても120年の歴史があるホンモノの温泉だからね。

ーー本当にすごい歴史。今でもお湯がたっぷりと湧き続けているのも魅力ですね。

ボリューム満点の豊富なメニュー。女将さんがこだわる手作りの食事

ーーお昼は食事処で食べてきましたが、本当に美味しかったです。食事へのこだわりはあるのですか?

山﨑さん:オープン当初は軽食を出していましたが、今は手作りのものにこだわって提供しています。天ぷらなども、注文が入ってから揚げていますね。

ーーその辺の転換期は?

山﨑さん:館内をリニューアルして広くした時に、食事メニューの見直しもしました。食事だけでも足を運んでもらうにはどうしたら良いか。考えた結果出たのが、手作りの料理を提供することでした。

あと、食事に関しては女将さんのこだわりが強いです。食事処を増築したばかりの頃はよく厨房にも入っていましたし。今でも味付けとかは女将さんが全部チェックしています。

ーーまさに母の味。女将さんの食事に対する熱意もすごいです。

山﨑さん:女将さんが今までずっとこだわってきたことが、今の食事の評判につながったのかなと。

ーーおすすめのメニューは何ですか?

山﨑さん:やっぱりNo.1は手打ちそば。さっぱりしているし冷たいし、お風呂上がりにはちょうどいいからじゃないですか。そばは毎日、入口のところにあるそば打ち小屋で手打ちで作っているんですよ。

普通盛りでもなかなかのボリューム
そば打ち小屋で毎日手打ち

ーー生姜焼き定食も美味しかったです。定食はライス大盛り無料ですね。

山﨑さん:ボリュームたっぷりなので、間違えて大盛りを頼むと大変なことになるかも…。

メニューは100種類以上

ーーボリュームが多いのは、僕たち学生にとっても嬉しいことです。今度はカツ丼を食べたいなあ。

2017年10月リニューアルオープン。瑞祥の今後の展開について

ーー昨年館内もリニューアルされて、ホームページも新しくなりましたね。

山﨑さん:そうですね。上山田館は昨年(平成29年)の10月にリニューアルオープンしたばかりです。

風呂上がりの休憩所としても利用できる畳敷きの広間

ーー食事処もリニューアルしましたよね。テーブル席はお年寄り目線で考えたのですか?

山﨑さん:やっぱり畳の席が人気なので、まずはそこを広げようと。だけど年配の方のことを考えるとテーブル席も必要かなとなって、両方増やしました。

ーーどうりで、ずいぶん広くなったなあと。

気軽に利用できるテーブルやカウンター席

山﨑さん:あとは入口の玄関も大幅に変えましたね。脱衣所も少しだけ広くなりました。

和モダンな風情ただよう玄関
広くなった脱衣所

去年のリニューアルオープンに伴って、公式ホームページもリニューアル。ホームページにもあるように、瑞祥のキーワードは“たっぷり”!「お湯」もたっぷり、「ご飯」もたっぷり。

瑞祥 公式ページ:https://zuisho.com/

ーー営業時間も25時までと、本当にたっぷりですね。

山﨑さん:この辺りで深夜まで開いているお店は珍しい。仕事帰りによるという方も多いです。

若者でも楽しめる温泉に。瑞祥にしかないものとは?

ーーちなみに、Skima信州の読者には若者も多いです。若者に向けたアピールポイントってありますか?

山﨑さん:やっぱり夜遅くまでやっているということじゃないかな。夜になると若いお客さんが増えますね。

ーー長野って夜になると開いてるところなくなっちゃいますからね。お食事処でもなんでも。

山﨑さん:学校終わりに来て最初にご飯を食べて、そのあとゆっくりお風呂に入って。そんな楽しみ方もありますね。

ーーどなたに向けても優しいのが瑞祥の魅力のひとつですね。若者にも地元の方にも。

紫央さん:浴槽の数が少ないと、混むと長くは入っていられないですよね。瑞祥なら友達と一緒に行っても、話をしながらゆっくりと浸かれます。寝湯とかササラ湯とか、周りを気にせず友達と話しながら長居できちゃいますね。

体をじんわりと温めてくれる「ササラ湯」
時間を忘れさせてくれる「寝湯」

ーー複数の浴槽をめぐって楽しむこともできるんですね。

山﨑さん:これからの暑い季節は、寝湯なんかは絶対に気持ちいいはずです。

ーー本当にゆっくりできて…。温泉に入っていると時間の感覚が分からなくなってしまいます。

テレビを見ながら楽しめるサウナ

ーーサウナだけでなく、露天風呂にもテレビが置かれててびっくりしました。

山﨑さん:露天風呂のテレビは珍しいんじゃないかな。意外と好評なんですよ。

何でもたっぷり!瑞祥の魅力は語りきれない

ーー最後になりますが、瑞祥の一番の自慢は何でしょうか?

山﨑さん:やっぱり温泉。伝統ある温泉地のお湯を使った日帰り入浴施設だということ。上山田の上質なお湯で日帰り温泉をやっている。これが一番の自慢じゃないかな。どこでもできることではないですしね。

ーーまさに上山田という土地だからこそできたことなのですね。

山﨑さん:上山田の温泉は本来、旅館に泊まらないと入れないもの。それを日帰りでも気軽に楽しめるっていうのも魅力かな。

あとはアクセスが良いこと。長野からも上田からもちょうど中間にあって、そこそこ街中にあるから交通の便が良いです。

戸倉駅前のアーチ。上山田温泉へは駅からでも歩いて行ける

もともとは善光寺参りの精進落としの湯と呼ばれていた戸倉上山田温泉。

今ではそういった文化は無くなりましたが、善光寺など長野観光のついでに温泉に寄って帰るという、なんとなく似たような旅のプランが現代でも残っているように感じました。

ーー本当に何でもたっぷり。瑞祥の魅力をたくさん聞けて良かったです。今日はありがとうございました!

最後に3人で。

上山田温泉の日帰り入浴施設「瑞祥」。何でも“たっぷり”すぎて、ひと言では魅力を伝えきれません。温泉好きの僕もファンになった自慢のお湯を楽しみに、皆さんも瑞祥に足を運んでみては。

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