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【稲荷山宿】土蔵群のなまこ壁に宿場町の裏通り。

宿場町の面影が好きです。バッチリ復元された綺麗な宿場町はもちろん良いけれど、かつてここには宿場町があったのだろうと思わせる雰囲気はたまりません。正確にいうと、不自然に密集した家屋、道に面して連なる茅葺やトタン屋根、裏道の蔵通り、カクカク折れ曲がった道。

以前宮田村の宮田宿や遠山郷の和田宿でもお伝えしたような、わずかに、でも確かに感じる宿場町の面影。わたしの大好きが詰まったお気に入りの宿場町「稲荷山宿」をご紹介します。

稲荷山宿の景観を眺めながらの散策はもちろん、資料館や漫画館、おすすめランチスポットも合わせて半日満喫できるプランを考えてみました。

稲荷山宿へのアクセス。無料の商店街駐車場もあり!

稲荷山宿の最寄駅は稲荷山駅か屋代駅。今回は稲荷山駅に立ち寄ってみました。駅は長野市篠ノ井と千曲市の境。稲荷山宿からは、2kmほど離れています。

歩けそうな人は歩いて行きましょう。わたしは車で行きます。

今回のざっくりウォーキングマップ

マップをよ〜く見るとお分りいただけるとおり、稲荷山宿の街道はカクカク折れ曲がっていますね。城下町にはよくある道ですが、敵の侵入を阻むためだといわれています。松代町なんかもそうですが、このカクカクが残っている道を通るとテンションが上がります。

具体的にいうと、用もないのに週1回はこの道を車で通っているくらい好きです。

稲荷山商店街駐車場にはトイレもあり

車でお越しの方は、稲荷山の信号すぐ近くにある稲荷山商店街駐車場を利用しましょう。その他、駐車場は蔵し館やふる里漫画館などにもあるので、最初にピンポイントで向かっても良いかもしれません。

稲荷山宿はかつて城下町、善光寺街道の宿場町として栄えた

中町の旧醸造蔵。最高。

稲荷山は、天正10年(1582)に上杉景勝(かげかつ)が荒地だったこの場所に稲荷山城を築き、町割をしたことに始まります。江戸時代には北國西街道(善光寺街道)が整理され、宿場町として繁栄しました。

幕末には養蚕・製糸業が盛んになり、開国による繭・生糸の輸出増加を背景に、明治期には県下1~2位を競う大商業地へと発展。しかし鉄道の開通に伴い、交通要地としての機能を失い、衰退を余儀なくされたということです。かつて商業の中心にあった稲荷山宿!今でもその面影を随所に感じることができます。

まずは駐車場のすぐ裏、たまち蔵道へ

稲荷山宿を簡単に一周してみよう!ってことでまずは中央通りから一本裏に入ったたまち蔵道の土蔵群を見に行きます。

南端には道祖神と二十三夜塔

駐車場から少しだけ南下すると、井戸を囲むように石碑が並んでいました。

国道403号線沿いには、延喜式内社・治田神社の大鳥居。ここからたまち蔵道を歩き、5分ほど北上するとふる里漫画館にたどり着きます。

国道403号線沿いの高村別邸

車1台がやっと通れるほどの小さな蔵道。高村別邸の塀が趣深さを演出しています。

残念なことに、内側は空っぽ。塀と門だけ残してあるみたい。

高村国策氏の別邸。長男の高村象平氏は、慶應義塾大学の塾長も歴任されました。

当時の蔵をそのまま残す貴重な蔵道を歩く

なまこ壁の立派な蔵。善光寺地震の教訓を踏まえ、この辺りには強い土蔵がたくさん残っています。

ほとんど地元の方しか利用しないスキマな横道。

ふる里漫画館には「新聞漫画」の生みの親・近藤日出造の作品を展示

たまち蔵道を抜けて少し西に進むと、ふる里漫画館が見えてきました。

ここには「新聞漫画」の生みの親、近藤日出造の作品が展示されています。稲荷山出身の近藤氏は漫画で政治の世界を分かりやすく表現し、世界的な漫画家として評価されました。中は撮影禁止ですが、ニッチな観光スポットとしておすすめしておきたい場所。

2階には漫画図書館もあり、名探偵コナンやらんま1/2などの漫画が自由に閲覧できます。わたしは「まじっく快斗」を読んでいたらだいぶ時間を奪われてしまいました。うちにもあるのに・・。

ふる里漫画館

住所:千曲市大字稲荷山2181-1
電話番号:026-273-5639
休館日:毎週月曜日(月曜祝日の場合は火曜日)、祝日の翌日、12/28~1/3
観覧料:一般200円、高校生100円、中学生以下無料

稲荷山宿を歩こう!

そんなふる里漫画館のあった横道から、再び稲荷山宿のメインストリートへ戻ってきました。まだまだ歩きます。

稲荷山宿も城下町らしく、街道が綺麗なカーブを描いています。綺麗なお花とベンチが見えたので少し休憩。

しばし稲荷山宿のカクカクに見惚れていました。カーブ越しに見える建物は、どうやら元薬屋さんのようです。

どことなく昭和の匂いも漂う稲荷山宿。まっすぐ進むと稲荷山郵便局です。

谷街道稲荷山起点は稲荷山郵便局に

1つ目のカーブを越えるとすぐに見える2つ目のカクカク。稲荷山郵便局前は稲荷山宿の中にあり、谷街道の起点でもあります。ここから松代、須坂、小布施、中野などを通り飯山までが谷街道。

さらに北へ!蔵し館を目指そう

郵便局あたりから見た景色。大きな宿場町ですね、まだまだ続きます!

旧呉服商(山舟)

北へ歩いていると、ひときわ目立つ蔵を発見。

明治10年頃に建造された、県下屈指の呉服反物商の蔵。町内一の耐火・耐震建物。見えているのは一部ですが、一号から八号まで完全な形で残されているそうです。

ちなみに真横の水路は稲荷山城のお掘跡だといわれています。中町と荒町の堺にもなっているとか。

道向かいには史跡・城見橋も。

稲荷山宿蔵し館を見学しよう!

稲荷山宿の観光スポットとして外せないのは、古い町屋の生活空間を再現した「蔵し館」。建物は日本の生糸輸出に大きく貢献した「カネヤマ松源製糸」の「松林邸」を修復・再生したものです。

受付のある母屋には当時の様子が再現されていたり、お着物の展示があったり。

中庭を抜けて奥の土蔵は、たくさんの資料や日用品などが展示されていました。

音声や映像での解説もあり、ここに来るだけでだいぶ稲荷山宿のことが学べました。

蔵し館

住所:千曲市大字稲荷山931
電話番号:026-272-2726
入館料:一般 200円 高校生 100円 中学生以下 無料

ごちゃまぜカフェでランチ

稲荷山宿はかなり大きい!歩いているとお腹も減ってきました。漫画館の方に「稲荷山宿の美味しいランチ知りませんか?」と尋ねたところ、紹介してくださったのが「ごちゃまぜカフェ」さん。

「コミュニティカフェ」の名の通り、みんながコミュニケーションを取れるスペースにもなっています。「Happy Spot Club」の運営、長野市のビッグハットで毎年約3,000人が訪れる「ハピスポひろば」も開催している特定非営利活動法人です。

「ハピスポひろば」でつながった縁をコミュニティにできる場所があれば、との想いでカフェを始められたのだそう。

手作り雑貨とおばあちゃんたちの話し声で賑わう店内。本日のランチを頼みました。

2種ネギの肉巻き、チキンロール、切り干し大根の煮物、サラダにご飯とスープがつきます。満腹になりましたが、とってもおいしかったです!

ごちゃまぜカフェ

住所:千曲市稲荷山783-5
電話番号:026-273-5592
公式HP:http://gochamaze.happyspotclub.org/

城小路の井戸

ごちゃまぜカフェの道向かいにある城小路の井戸。稲荷山城に通じる小路にある井戸、この辺りでは一番水質が良かったそうです。

小路は現在なくなっているため、井戸の名前から小路があった唯一の証明になっています。井戸横に、何やら奥へ続く道。気になったので歩いてみました。

稲荷山最古の木造建築物「極楽寺」

道は、極楽寺と呼ばれるお寺に通じていました。

極楽寺は、稲荷山城の鬼門鎮守のお寺です。稲荷山宿最古の木造建築物。

蛇枕石

極楽寺のすぐ手前にある石。信濃の民話に由来するみたいです。

看板には以下のように書かれていました。

昔、篠山の雨池に大蛇が昼寝のとき枕にしていた石です。
日やけで困ると、里人はこの石に縄をかけて雨乞いをすると、必ず「おしめり」があったという。ある干ばつの年あまり動きすぎたため、大蛇がいかり大雨となり、「かに沢」「エ沢」が大洪水となって、小坂、元町の家や畑が押し流された。蛇枕石はここに流れ着いたのです。
「桑原村説」「信濃の民話」より

桑原村はこの辺りの村名。ちなみに養蚕のため桑を育てていたことからその名が付いています。

街を歩く

楽しくなってきたのでもう少し歩きます。江戸時代から昭和、平成・・さまざまな時代が重なり合ったような町並みと建物に情緒を感じます。

営業中のお店です。

一周してきたぞ!

更級郡稲荷山町道路元標。

上八日町のお地蔵さん

1718年、蟹沢川に旭橋が架かっていたこの川の砂揚場にお奉りされました。

稲荷山宿散策 まとめ

善光寺西街道と谷街道の分岐点として急速に発展し、現在までその姿を残す稲荷山宿。普段は車で通り過ぎてしまう方も、ぜひ一度散策してみてくださいね。

今まで見えなかった歴史のかけらや、小さな情緒が見えてくるはずです。

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