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天竜川水域の「治水構造物」めぐりで先人の偉大さを知ろう!

天竜川水域の治水構造物めぐりで先人の偉大さを知ろう!

長野県の南信地域を流れる天竜川水域には、昔の治水の歴史を物語る治水構造物がたくさんあります。

これらの構造物からは治水と戦った先人達の知恵と努力がうかがい知れます。

暴れ天竜と呼ばれた天竜川をめぐる歴史も含めてとても興味深いです。

今回はその一部をご紹介します。

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西天竜幹線水路 円筒分水群|辰野町〜伊那市

天竜川流域でも特に辰野町から伊那市にかけて多く見られるのが、この「円筒分水槽」です。

多くは1919年〜1939年に50基ほど作られましたが、現在でも35基が立派に可動しており、この規模は日本一です。

この分水槽の役割はズバリ「水の公平な分配」です。

昔から農業や生活用水を確保するための水争いが絶えなかったこの地。

その現状を解消するために、田んぼの大きさや需要量に応じて水を分配できるように考えられたのがこの分水槽なのです。

すべて(35基)を見て回るとわかりますが、どれひとつ同じものがありません。

その土地で分配量が変わるからです。

円筒分水槽の仕組みは・・・

水の押す力を利用して、分水槽の中心部から溢れだす水を、排水穴によって分配量を調整して流したい方向へ排出させます。

つまり、水田の面積に応じて各水路に正確な比率で水を配分させることができるのです。

これはすごいですね。

昔の人の知恵に脱帽です。

円筒型だけでなく、扇形や角型などの形の分水槽もあります。

現在でも田園地帯にひっそりと可動していますので、興味のある方は探しに行くとおもしろいですよ。

全部で35基あります。

おおまかな設置マップを紹介しておきます。

八乙女の水路橋|箕輪町

こちらは箕輪町、中箕輪にある「八乙女の水路橋」です。

1972年に完成した水路橋で、天竜川から取水した水を谷を越えて迂回させて流すために作られました。

現在は水路橋としては使われておらず、町道として残っています。

車で渡ることは出来ませんのでご注意を。

そして橋の上からは中央高速道が見えます。

遠い昔、開墾地を水田化させるために膨大な労力を使い、完成させた先人たちには本当に頭が下がります。

朽ちた鉄筋コンクリートがノスタルジック感を増長させますね。

まさに農業治水の遺跡です。

映画『さよならクロ』のロケ地としても有名です。

八乙女の水路橋

橋の長さ:145m
幅   :3.03m
高さ  :15.15m

アクセスは中央道側ではなく、伊那西部広域農道側から向かうとわかりやすいです。

虹橋水路橋|伊那市(高遠町)

こちらは高遠町にある水路橋、虹橋です。

全長98m。

この虹橋水路橋は今でも現役で活躍しています(2007年に改装されています)。

この虹橋の役目は高遠ダムからの農業用水を、三峰川対岸に流すために作られました。

橋の上は歩道になっていて歩くことができます。

この歩道の下を水が流れていく造りになっています。

この水路橋の水で約1140haの近隣の農地を潤しています。

橋の幅がかなり狭く、高さが40メートルあるので下をのぞき込むとなかなかのスリルですよ。

アクセスは国道361号線側からはわかりずらい(車を止める所がありません)ので反対側からの向かうことをおすすめします。

虹橋

橋の長さ:98m
幅   :2m
高さ  :40m

天竜川水域の治水構造物めぐり まとめ

今でこそ天竜川の西側には辰野町から伊那市まで広く豊かな田園地帯が広がっていますが、その過去には水をめぐる争いが絶えなかったそうです。

先人達が血の滲むような膨大な労力と根気でそれを解決し、今に繋がっていると思うと感慨深いものがありますね。

ましてや重機や機械などがなかった時代ですから・・・

治水構造物をめぐって、そんな思いにふけるのもまたいいものですよ。

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