「あなたにAle(エール)を! 地域に潤いを!」というコンセプトのもと、2016年に松本市で誕生した、松本ブルワリー。2018年より自社醸造所も本格稼働し、市内や県内に留まらず、全国各地に着実にファンを増やしてきました。
かくいう私も、松本ブルワリーのファンのひとりです。自己紹介が遅れてしまいました。お酒のなかでビールが一番好きな(しかも、ラガーよりエール)、ライターの松元麻希と申します!
私が感じている松本ブルワリーの魅力は、定番商品から限定商品に至るまで個性的で多様な味わいのビールを楽しめること、北アルプス由来の清らかな水で仕込んだビールという山麓ならではのストーリーがあること、そしてなにより、地域やビール愛好家への「愛」に溢れていることです。
そもそも、このビールが生まれた背景には、2014年より国宝・松本城で開催されている「クラフトビールフェスティバルin松本(通称:ビアフェス信州)」があります。当時はまだ、松本産のビールがありませんでした。そこでビアフェス信州の開催を企画したメンバーの間で、「ないなら作ろう!」と機運が高まり、松本ブルワリーの立ち上げへと繋がりました。
おいしいビールで地域の人々を元気にしたい。創業当初から続くその想いは、コロナ禍に突入した今だからこそより一層、熱く深く、松本ブルワリーのビール作りに込められているのです。
販売から3・4日でほぼ完売! 限定販売「ハットトリックIPA」
ということで前置きが長くなってしまいましたが、地域や人々へのエールをひしひしと感じられる松本ブルワリーのビールについて、ここでご紹介したいと思います!
それが、松本市民には馴染みが深すぎる緑色のラベルを纏った「ハットトリックIPA」です。5月28日に販売を開始したこちらのビール、なんと当日には半数以上が売れて、3、4日もしないうちに工場出荷分が完売になってしまったそうです!(直営店や酒販店などの在庫が終わり次第終了)
ハットトリックとはご存じのとおり、サッカーの試合で1人の選手が3点以上の得点を挙げること。まさにこのビールも、ハットトリックと同等の快挙を成し遂げたといっても過言ではないでしょう。
このビールは、クラフトビールで今最も人気の高い「ヘイジーIPA」というスタイルで作られています。IPAといえば、ホップを大量に使っているため、香りと苦味が強いイメージですが、ヘイジーIPAは、通常のIPAよりも飲み口がやわらかくてジューシーなのが特徴です。
ハットトリックIPAには、メインホップとして「モザイク」をたっぷりと使い、さらに柑橘のなかにトロピカルな風味を感じられる「サブロ」というホップも投入しているそう。また無濾過で仕上げられているため、上の写真のように濁りのある見た目になっています。
実際に飲んでみたところ、たしかに飲み口はスムースで、かつ飲んだ直後にインパクト大なホップの香りが飛び込んできて、最後にビールならではの心地よい苦味が口に広がるという、エキサイティングな味わいでした!
「モルトもホップも大量に使用したために、まったくの採算度外視のビールとなってしまい、社内での風当りも強くなってしまいましたが、私たちの誇りである地域の勇者達、そして応援をされている方々への活力(勝力)につながる、そんなビールになれば最高に嬉しいです」
店頭には、松本ブルワリー社長の林幸一さんによるこのような熱いメッセージとともに、ハットトリックIPAが並べられていました。このビールの登場が、緑色を纏う地域の勇者達、そしてコロナ禍に立ち向かうすべての人々に元気を与えたことは間違いありません。
2021年の夏は、どんなビールが販売される予定?
林社長に聞くところによると、さっそく夏に向けた限定ビールを仕込んでいるところだそうです。ちょうど一年前、全国的に外出自粛を余儀なくされていたころ、松本ブルワリーは「STAY HOME Takunomi Session IPA」という限定ビールを販売し好評を得ていましたが、今年のビールやいかに?
「7月からは、アルコール度数が控えめのライトラガーやのど越しのよいピルスナーなどを販売予定です。とくにライトラガーは、山の上で飲んでほしいという思いも込めて作りました。上高地など標高が高い場所では酔いが回りやすいですから。最高のロケーションのなかで、ライトラガーをゴクゴクと飲んでいただけたら嬉しいですね。無濾過なので、喉越しとともに、酵母の旨味も楽しんでもらえるはずです」
松本ブルワリーのビール作りでは、「誰と」「何を」飲むかも大切だけど「どこで」飲むかというシチュエーションも大切にしていると、林社長から伺いました。その時々の時勢に合わせて臨機応変に商品開発ができるのは、クラフトビールならではの強みですね。
「緊急事態宣言下、お酒が提供できない、お得意様である飲食店様に出荷ができない今の状況は、私たちビールメーカーにとっても大きな打撃ですので、正直なところ厳しい状況にあります。そのなかでも前向きに取り組みながら、地域の人々に元気を与えられるようなビールを作っていきたいです」
この夏は密を避けた山の上で、腰に手を当てて、松本ブルワリーの喉越しのよいビールをグビグビっと飲み干し、元気を注入していきましょう!
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