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短い路線に見どころが凝縮!北しなの線沿線まち歩き

こんにちは!まち歩きライターのむーさんです。

沿線まち歩きシリーズ2回目、今回は長野駅と妙高高原駅(新潟県妙高市)を結ぶしなの鉄道北しなの線(以下、北しなの線)を途中下車しながら、沿線にあるちょっぴりディープな立ち寄りスポットをご紹介します。

北しなの線」とはどんな路線?

しなの鉄道には昭和から走り続ける車両が健在
北しなの線フリーきっぷ

北しなの線はしなの鉄道の北側、長野駅と新潟県との県境付近に位置する妙高高原駅を結ぶ路線です。2015年の北陸新幹線金沢延伸に伴い、当時のJR信越本線の一部区間が第3セクターのしなの鉄道に転換されたことによって誕生しました。かつては首都圏と北陸地方を結ぶ大動脈として特急列車が多数走っていましたが、現在は基本的には普通列車のみが走るローカル色の強い路線となりました。

そんな北しなの線、全長40km弱、駅数わずか8駅という短い路線ではありますが、1日フリーきっぷが発売されています。北しなの線内が1日乗り放題で1,020円。今回はこの北しなの線フリーきっぷを使って、沿線の気になるスポットを巡っていきたいと思います。

三才駅-長野県民の通過儀礼?3歳児のフォトスポット

最初に降り立ったのは、長野駅から2駅目の三才駅。

訪れたのは日曜日ということもあってか、駅の周りには家族連れの姿が目立ちます。長野市内の駅とはいえ、決して規模の大きくない三才駅に多くの家族連れが集まるのはなぜなのでしょうか?その答えは三才という駅名にあります。

三才駅の周辺には、このような看板が立っています。「祝 三才おめでとうございます」「三才」という名前から、3歳の誕生日を迎えた子供を連れて駅で写真を撮ろうというご家族が数多く訪れます。訪問当日は七五三シーズンの真っ只中ということもあり、特に賑わいを見せていました。

そうした需要を見越してか、駅前には写真撮影用のボードまで用意されていました。余談ですが、上の写真の右側に写っているのは三才駅のキャラクター「サイまる」です。誕生日は3月3日、三才駅だから年齢は3歳…かと思いきや、「永遠の33歳」という衝撃的な設定となっています。

三才駅周辺の3歳児ゆかりの場所はこれだけではありません。駅から歩いてすぐの場所にある西三才神社は、「飛翔三歳児」の神社として知られています。地域住民の皆さんがお金を出し合って建立した神社です。

あまり大きな神社ではありませんが、飛翔三歳児のお守りや絵馬も頒布されているそうです。お守り・絵馬の購入は神社ではなく、三才駅周辺のお店で購入が可能です。

古間駅-明治の鉄道技術に触れるトンネル

三才駅を後にした北しなの線は、JR飯山線との並行区間の終わる豊野駅を過ぎると一気に標高が上がり、山越えの区間へと入っていきます。飯綱町の牟礼駅を過ぎて、信濃町に入った最初の駅である古間駅で下車。

古間駅は北しなの線内で唯一の終日無人駅であり、駅周辺にお店などがほとんどない場所なので、行ったことがないという方も多くいると思います。そんな古間駅ですが、駅から歩いて5分ほどの場所に明治時代の鉄道遺産があるのをご存知でしょうか?

それが、旧戸草トンネルです。

北しなの線の前身・信越本線が開業したのは明治21(1888)年のこと。当時の鉄道車両は現在よりもサイズが小さく、それに伴いトンネルなどの設備も小さなものとなっていました。その後、戦後になってこの区間の電化対応のために線路は新たなトンネルへと移設されますが、明治時代の建設技術を知ることのできる貴重な遺産として、現在までその姿を留めています。

線路は通っていませんが、道路として整備されているため歩いて通過することができます。全長150m弱のトンネル内は照明も点いているため、写真映えする光景が広がります。130年以上前に完成したトンネルには手掘りの跡もあり、長い歴史を垣間見ることができます。

黒姫駅-駅そばのストーリーを味わう

古間駅を出発して、隣の黒姫駅にやってきました。

この辺りからは特に雪深いエリアとなり、かつては全国各地から訪れるスキー客用の臨時列車が発着していました。長距離列車の発着がなくなった現在でも、随所にその面影を残しています。

ホームに降り立つと、何やら良い香りが…黒姫駅の名物にもなっている、駅そばです。お店は駅の待合室に併設される形で営業しているのですが、ホーム側にも提供口があるため、ホーム上でもそばをいただくことが可能です。今回は一旦改札口を出て、待合室内でそばをいただいてみることにします。

こちらの駅そば、なんとそばが2種類から選ぶことができます。生麺を茹でて提供する「特上そば」と、茹でてある麺をサッと提供する「駅そば」。駅の立ち食いそばで茹でたてのそばが食べられるとは、なんだか贅沢な気分です。

特上そばと駅そばの価格差は30円。どちらも捨てがたいですが、今回はせっかくなので特上そばをチョイス。

黒姫駅の駅そばは、同駅の運営がJR東日本からしなの鉄道へ移管された2015年春に一度は閉店したものの、町民などからの再開の要望を受けて再び営業を再開したという経緯があります。※2015年2月末をもって一旦閉店。翌月からしなの鉄道の運営で再開し、同年秋の再休業を経て、現在は信濃町振興局が運営。

町民にも観光客にも愛されてきた歴史を感じると、そばがさらに美味しく感じます。

黒姫駅そば店
所在地:長野県上水内郡信濃町柏原2711 しなの鉄道 黒姫駅
営業時間:10:00~15:00(13:15~13:45は昼休憩)
定休日:不定休

駅そばの話が長くなりましたが、黒姫駅周辺は江戸時代の俳人・小林一茶の生誕地です。黒姫駅から歩いて10分ほどの場所にある小丸山公園には一茶記念館をはじめ、一茶ゆかりの施設や句碑などが点在しています。

一茶記念館
所在地:長野県上水内郡信濃町柏原2437-2(黒姫駅から徒歩5分)
営業時間:9:00~17:00
休館日:5,6,9,10月末日(土日にあたる場合は翌月曜日)、年末年始

一茶記念館付近から黒姫山を望む

一茶記念館のある小丸山公園一帯は小高い丘となっており、一茶記念館の2階にある展望スペースからは北信五岳のうち飯綱山・戸隠連峰・黒姫山・妙高山の4つの山を望むことができます。小林一茶もこの景色を見ながら感性が磨かれていったのだろうか、とつい自分も物思いにふけってしまいます。

妙高高原駅-長野駅から45分で踏み入れる新潟県

いよいよ終点、妙高高原駅に到着です。長野駅からここまでの所要時間は45分ほどですが、妙高高原駅の所在地は新潟県妙高市になります。

この辺りまでやってくると、駅周辺の建物も完全に雪国仕様。屋根への積雪を防ぐための急角度の屋根は長野市内中心部では見られない光景のため、実際の距離以上に遠くまで来たような感覚を覚えます。

妙高高原駅の住所は新潟県とはいえ、長野県との県境は歩いて10分ほどの場所にあります。県境にかかる橋の名前はズバリ「両境橋」。長野県信濃町と新潟県妙高市を跨ぐ橋で、歩いて県境を越えることができます。

時間の都合上立ち寄ることができませんでしたが、妙高高原駅から3kmほどの場所には江戸時代の関所跡を復元した北国街道関川関所「道の歴史館」もあります。※12/1~翌年4/9まで冬季休業

北国街道関川関所「道の歴史館」
所在地:新潟県妙高市関川272
営業時間:9:00~17:00
定休日:4/10~11/30は無休、12/1~4/9は冬季休業
ホームページ:http://myhp.joetsu.ne.jp/sekigawa-sekisyo/

古くから信濃と越後の境としての役割を持ってきた妙高高原駅周辺。駅前のお土産屋さんも、新潟と長野の両方を感じさせるラインナップとなっています。

信州名物のおやき、そして新潟名物の笹だんごが並んで売られている光景は、この地域らしいと言えるでしょう。笹だんごはばら売りもしているので、1個ずつでも買うことができます。旅の最後に、お土産を買ってきました。

最後に

北しなの線は所要時間としては1時間にも満たない短い路線ではあるものの、景色の変化に富んだ非常に興味深い路線であることを、今回の旅で改めて実感しました。

今回訪れたのは11月中旬でしたが、ここから雪が降り始めるなど、季節によって異なる表情を見せてくれる路線でもあります。1日あれば存分に回ることができるので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

*北しなの線沿線、特に信濃町周辺は冬場の積雪が多い地域であり、冬季休業となる施設もあります。訪れる際には休業等の情報を事前にご確認ください。

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