北陸新幹線に乗れば1時間半で東京に行けちゃう長野駅。
そんな長野駅、地下にもホームがあります。「長野電鉄長野駅」です。長野電鉄は長野駅と湯田中駅を結ぶ全長33.2kmの鉄道路線。途中までは道路の下、地下を走っているのが特徴。普段は学生やスーツを着た社会人、冬は渋・湯田中温泉や地獄谷を訪れる外国人旅行客の姿を見ることが多い印象です。
さて、そんな長野電鉄に乗…………らずに、あえて沿線を散歩してみることにしました。駅舎と気になったものをご紹介していきます。今回は前編(長野駅〜須坂駅)です。
▼長野電鉄中編はこちら!
【長野電鉄沿線を歩く】長野市・地下鉄区間(長野駅〜善光寺下駅)
13時30分、長野駅からスタート。
長野電鉄の長野駅は、駅舎の北口(善光寺口)を出たところにあるエスカレーターで地下に向かい、左に曲がるとあります。待合所には地元農家さんが作った野菜や果物が販売されています。さて地上に出ましょう。
長野大通りを進むと見えてくるのが市役所前駅。ここから地下に入っていくとホームがあります。ここだけ見ると都会みたいですね。
また歩くと、可愛らしいカッパの像がありました。後ろ側には水路があるので、カッパがいるのでしょうか?
そして権堂駅に到着。県内随一の繁華街である権堂商店街があります。昭和30年代が最盛期だったと言われていて、今はシャッターを下ろしているお店も増えてきていますが、それでも昼間・夜間ともに人の行き来は絶えません。
さらに長野大通りを歩くと善光寺下駅。ここから西に道を上っていくと、善光寺に行くことができます。
善光寺下駅を過ぎて数分歩くと、ついに長野電鉄の線路が姿を現します。地下から地上へ出てくるところです。
長野市・地上区間(本郷駅〜柳原駅)
ここからは本郷駅に向かって歩きます。こんなに線路の近くを歩けるんですね。
本郷駅に着く直前に神社がありました。名前は「美和神社」。散歩しているなかで神社に立ち寄れるのはいいものです。境内に向かうとあるものを発見しました。
算額です。和算と呼ばれる日本古来の数学の問題と解法を神社に奉納したもの。千曲市の武水別(たけみずわけ)神社でも見たことがありますが、ここにも算額があるんですね。ちなみに、問題は全く解けませんでした。
そんな美和神社の近くにあるのが本郷駅。5年前に開学した長野県立大学の最寄駅です。
本郷駅から先もこんなふうに線路沿いを歩けます。
桐原駅に到着しました。ここは長野吉田高校の最寄り駅なので、高校生がたくさんいました。
桐原駅の近くにドイツ菓子のお店がありました。お店の名前は「橘花(きっか)」。いただいたのはフロレンティーナというお菓子(税込190円)。散歩で疲れたときにちょうどいい、とても美味しいお菓子でした。
近くには小さな公園があり、こんな可愛いお花が咲いていました。
お菓子屋さんと公園がある地域は「桐原牧の里」と呼ばれる住宅地。平成22(2010)年、都市計画によりそれまでこの地で酒造りをしていた「よしのや」が工場を移転。その土地3,000坪を長野電鉄が買い取り、住宅地となったそうです。ちなみに「牧の里」の名称は、奈良時代この地に御用牧場があったことに由来しているそう。
ようやく信濃吉田駅に着きました。立派な駅です。
信濃吉田駅を出発してすぐ、大きなイチョウの木がありました。思わず声をあげてしまうほどの大きさです。市指定天然記念物に登録されているというその名も「吉田のイチョウ」です。
イチョウの木からしばらく歩くと「辰巳公園」という公園を見つけました。池があるのどかな公園です。奥には北陸新幹線の高架が見えます。
辰巳公園を出発してびっくりする光景が。なんと北陸新幹線の高架と長野電鉄の線路、しなの鉄道北しなの線という3つの路線を見られる場所を発見しました。
今度は特急「ゆけむり」に出会えました。1時間に1本ほど走っているこの特急は、普通列車より100円多く出すだけで乗車できるお得な列車。ちなみに、この車両は元々小田急電鉄で「ロマンスカー」として使われていた車両です。
16時30分、朝陽駅に到着しました。駐輪場が大きく、かなりの台数が停まっていたのが印象的でした。一度中断し、後日13時30分から再スタートしました。
附属中学前駅に到着しました。信州大学教育学部附属長野小・中学校の目の前に駅があります。元気な子どもたちの声が聞こえました。
柳原駅に向かう途中、神社を発見しました。社号は「水内坐一元(みのちざいちげん)神社」。建御名方命(たけみなかたのみこと)を祭神としています。田畑の中にポツンと建っている光景がちょっと不思議な感じがしました。
こちらは柳原駅です。
村山橋
千曲川を渡る村山橋。最初に架けられたのは大正15(1926)年。平成になって架け替えられましたが、もう100年近く長野市と須坂市を結ぶ重要な橋として使われています。
村山橋を渡り終えると広場がありました。自動車も停められます。さらに、旧村山橋の部材とともに村山橋の歴史が学べる看板もありました。
須坂市(村山駅〜須坂駅)
ついに須坂市に入りました。
須坂市最初の駅は村山駅。歴史が感じられる趣のある駅舎です。
国道を避けて線路沿いを歩くと日野駅が見えてきます。階段を上がるとすぐにホームとなっている駅です。
日野駅から国道406号と住宅街を抜けて須坂駅に着きました。西口です。
15時30分、ついにゴールです。2日間、約5時間かけて約15.5kmを歩いて到着しました。私は普段あまり歩かないので、歩いた次の日は少し筋肉痛になりました。ちょうど長電バスが停まっていました。
長野電鉄沿線歩き【前編】まとめ
須坂駅に停車していた列車(鉄道むすめの朝陽さくらラッピング)を見ながら、「長野電鉄沿線歩き」を振り返ります。
列車に乗って長野駅〜須坂駅間を乗ったことはありましたが、こうして沿線を歩いてみると、まったく知らないお店やスポット、街の歴史などを知ることができました。
ぜひみなさんも運動がてら近くの線路に沿って歩いてみてはいかがでしょうか。
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