移住者目線で漫画「ここが分からんばい!信州 」やグッズ制作などを手がけるイラストレーター高坂梓さんの連載がスタートしました!
ここまでのあらすじ
東京に憧れる長野県の女子高生・みこも。口グセは「マジヤバ!」。長野県でも楽しいことはないかな?と探していると、おばあちゃんに民話をすすめられる。長野県の民話って地形や歴史とも深く関わっていて、なんだか面白いかも・・!
マジヤバ!姨捨にまつわる民話と秋の月
姨捨(おばすて)にまつわる民話とは?
民話にますますハマっているみこもちゃん。今回は最近オープンした千曲市の日本遺産センターへやってきました。
姨捨にはいくつかの民話が残っています。
国のお殿様が「老人は食べるだけで労働力にならず、使えないので山に捨てなさい。」とおふれを出しました。60歳になった母を捨てることになってしまった青年は泣く泣く山におばあさんを捨て置くために母をおんぶして歩きます。しかし自分が無事に山を降りられるようにと心配りをしてくれていた母の知恵と優しさを見て思い直し、隠れて母を匿うことに。
その頃隣の国から無理難題を押し付けられたお殿様は、国中に「この問題が解けたものの望みをなんでも叶える」とおふれを出します。青年はその問題の答えを母から教えてもらい、問題を見事に解決します。お殿様に望みを聞かれた青年は「実は、この問題を解いたのは65歳になった僕の母です。老人を山に捨てるおふれを取り消してはもらえないでしょうか」と頼みました。老人の知恵に感動したお殿様はおふれを取り消し、姨捨の風習はなくなったのだそうです。
これは、仏教の「雑宝蔵経」の説話「棄老国縁」を元にしていると思われます。信州でも昔からこの説話を大切にし、この教訓を元にした民話を作ったのでは(と思いたい)。ブッダはたとえ話をしながら大衆にもわかりやすく説くことが多く、日本の民話にもたくさん取り入れられています。
ちなみに「雑宝蔵経」では老人を捨てる国で父親をかくまったお話が出てきます。同じように隣国から難題を出され、それを父親が解決して老人を捨てないようになったというもの。
「姨捨」の名前が出たのは別の話。今昔物語か大和物語か、その辺(またしっかり勉強します)。母親を早くに亡くした青年が育ててもらった姥を、妻に言われて捨てることになってしまったってストーリーですね。
わが心 慰めかねつ 更級や 姨捨山に 照る月を見て
結局また戻って姥を連れて帰った、と安心のオチがつきます。あれ、簡単のつもりが少し書きすぎました。絶景も、こんな伝説や歌を知っておくとまた味わい深いはず!
ではまた次回のみこもちゃんでお会いしましょう!
「マジヤバ!みこもちゃんの民話めぐり」とは?