塩尻といえば、ワインと漆器のまち。
そんな農業と文化に富むまち・塩尻で、毎年7月の第二土曜日と日曜日に行われるのが阿禮(あれい)神社例大祭です。
塩尻出身の私ですが、阿禮神社と私が住んでいた地域が離れていたためか、子どもの頃は全く知りませんでした。
時を経て数年前にこの祭りの存在を知り、ようやく行くことができたのでした。
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昼の阿禮神社へ
訪れたのは日曜日、本祭りの日。雨が降ったり止んだりするお天気でした。
旧中山道を通って神社へ向かっていると、「奉獻御神前」と書かれた灯籠がお出迎え。通り沿いの家の玄関先には、祭礼の提灯が下げられていました。
阿禮神社に到着。
クレープや牛串、射的などの屋台が出店しており、小中学生も多く訪れていて、“ザ・地元のお祭り” という印象です。
こちらは社殿。立派な構えです。
1度焼失しているそうで、現在のものは1743(寛保3)年造営とのこと。スサノオノミコト、ホンダワケノミコト、オオナムチノミコトの3神を祀っています。
歴史は古く、なんと『延喜式(927)』に名前が登場しています。必勝祈願、武運長久の神社として篤く崇拝され、坂上田村麻呂や木曽義仲などが訪れています。
現在まで塩尻地区の氏神様として崇拝を集め続けているとのことです。
神社に山車がやってくる!!
阿禮神社の例大祭は、氏子の安全と五穀豊穣を祈る祭。
氏子は、7地区(上町・室町・中町・宮本町・堀ノ内・長畝・桟敷)で構成され、それぞれに山車があり、この祭りを盛り上げます。
歴史に思いを馳せながら神社にいると、遠くから氏子さんたちの威勢のいい声が聞こえてきました。
旧中山道を山車が進む
まず姿を現したのは桟敷地区。提灯には「参志゛記」と書かれています。
続いて見えてきたのは、堀ノ内地区。
笛や太鼓による祭囃子に乗せて、長野県歌『信濃の国』や『炭坑節』『七つの子』『丘を越えて』『金太郎』『夏祭り』『北国の春』などさまざまな歌が歌われ、祭りを盛り上げていきました。
花火の合図とともに交差点を一気に曲がる
残りの5地区は、国道153号から交差点を曲がって旧中山道に入ってきます。
20:15ごろ、長畝の山車が見えました。
ちなみに、全7基の山車は1秒単位で運行。
各地区の祭典部長が指示し、時間に正確に動いているそうです。長畝のあと、15分間隔で宮本町・中町・室町・上町の順で神社へ向かって行きました。
交差点を曲がるときなど、ポイントとなる動きの際には花火が上がります。
この花火を合図に氏子さんたちがかけ声をあげ、一気に山車を動かしていく姿は見物です。
大きな掛け声とともに境内へ
20:30、先頭の桟敷の山車が神社境内へ入り、この後15分間隔で長畝・堀ノ内・宮本町・中町・室町・上町の順で境内へ入って行きました。
各地区の山車が境内に入っていくと、それぞれの氏子さんたちの声が重なり合い、祭りはさらに盛り上がりをみせます。
拝殿前で本囃子を奉納
境内に入って山車が向かうのは拝殿。ここで本囃子を奉納します。榊を神社に納め、宮司さんが祝詞をあげます。その間氏子さんたちは目を瞑り、祈祷します。
奉納を終えた舞台から所定の位置へとついていき、七つの舞台が神社の中心に集結し、祭りの盛り上がりは最高潮に達しました。
この一体感は凄まじいです!
各地区別々の歌を歌っているのですが、そのどれもが聞き取れて入ってくるのに絶妙に重なり合って、この場のエネルギーみたいなものが身体を包んでいる。そんな感覚でした。
いつまでも続く祭囃子と歌の響き
22:50。七つの舞台で一斉に本囃子を奉納し、23:00に万歳三唱で祭りは幕を閉じます。
祭りが終わると、山車にあった”花”と呼ばれる飾りを観にきた人たちに配るのがお馴染みの光景だそうです。
山車はここから各地区に戻っていくのですが、しばらくの間名残惜しいように祭り囃子が鳴り響いていました。
神社から塩尻駅方面へしばらく歩いてもなお、遠くに祭りを感じる音が聞こえた夜更けでした。
祭り、それは心もふるさとへ帰る日
1年に1度、この地域をふるさとと想う人たちが帰り、ここで過ごした日々を、ここにしかない空気感を思い出し、また新たな歴史を刻んだ自分で祭りに戻っていく。
そんな感覚なのでしょうか。
みなさんもこうした地元の方に愛されるお祭りを観に行ってみてはいかがでしょうか。
阿禮神社のアクセスと基本情報
所在地 | 〒399-0712 長野県塩尻市塩尻町6 |
連絡先 | 0263-52-1681 |
アクセス | 塩尻駅下車 徒歩約40分(約2.6km) |
▼参考文献
・塩尻市誌編纂委員会編集 塩尻市発行 『塩尻市誌 第二巻 歴史』(1995)
・塩尻市誌編纂委員会編集 塩尻市発行 『塩尻市誌 第四巻 民俗・文化財史』(1993)
・阿禮神社提供 社記一式
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