長野市街地の北部にある浅川地区は、「浅川ダム」と呼ばれるダムがあります。ダムカードを配布しているダムということと、近くにループが美しい「真光寺ループ橋」があることから、今回はそちらを訪れることにしました。さらに、ダム近隣で偶然見つけた歴史スポット、「ブランド薬師」こと「八櫛神社」についてもご紹介します。
※この記事は、フリーマガジン版『Skima信州』に掲載されたものです。
いざ、浅川ダムへ!長野駅から
浅川ダムは、「浅川地区」と呼ばれる概ね長野市街地の北側に位置します。
私は車をあまり運転したくない身なので、(一人で移動するときは基本的に)公共交通を使っています。某地図アプリで目的地とバス路線を合わせて見ると…行けそう。というわけで長野駅に来ました。ここから浅川地区へ向かうバスが発着します。
こちらは長野駅前に設置されているバスの路線図に、浅川ダム及びループ橋の位置関係ををおおよそのあたりで示したものです。「浅川農協前」バス停と「北郷岩原」バス停の間に位置するループ橋の線形が見えて面白いですね。路線図にもしっかりと1回転するループが描かれています。
早速、浅川ダムの最寄りのバス停であろう「浅川農協前」に向かうことにしましょう。長野駅からは、浅川団地方面へ向かう【16】【17】と、飯綱高原・戸隠方面へと向かう【70急】が通過します。
1番のりばから発車する、浅川団地方面若槻東条行きのバスに乗り込みます。日中時間帯でも、【16】と【17】を合わせて毎時3本が出発していきます。 ここからループ橋方面へと歩いていきます。
乗ってきたバスが進んでいった方向に沿って歩いて行くと、このような案内標識が見つかります。先にある交差点で左に曲がり、県道506号「浅川ループライン」を進んでいけばループ橋が見え、やがては浅川ダムに辿り着きます。
きれいな1回転 真光寺ループ橋
浅川ループラインを長野市街側から進むと、奥にループしている橋梁が見えてきます。これが「真光寺ループ橋」です。真光寺1号橋〜真光寺5号橋などから構成されています。なお、手前に架かっている橋は仙郷大橋と呼ばれます。ループ部分へアプローチするように伸びていますね。
「真光寺ループ橋」は、名前にループと付くとおり綺麗な1回転を描き、加えてヘアピンカーブが2箇所もあるそこそこ複雑な線形となっています。
撮影しようとすると、その巨大さゆえ、橋の全貌を1つの画角に収めるのは至難の業。
仙郷大橋(長野市街側)からループ橋に進入してきた車は、約60メートルもの高低差をぐるりと周りながら駆け上り、橋の北端で「八櫛トンネル」に接続します。写真には、ループ橋の奥から浅川ダムが顔を覗かせていました。
1,200年の歴史 八櫛神社(ブランド薬師)
ループ橋のそばを通っていくと、鳥居が立っていることに気がつくかもしれません。「ブランド薬師」という名で親しまれている八櫛神社です。
さて鳥居には、「八櫛神社」と書かれています。さらに階段の先からは道が続いているようです。もしかすると、この上からループ橋の全貌が眺められたりするのかな。
折角なので、歩いて行きましょう。
この道沿いには、ところどころこのようなお地蔵さんが置かれていました。ご親切に解説のための看板も立っています。ただ、私の今の興味はループ橋でいっぱいなので先に進みます。ごめんね。
宙に浮いているように見える建築様式は懸造(懸崖造)、岩に穴を開けて打ち込んだ3本の水平材で支えているとのこと。
おお!
眼下に長野盆地が広がる視点場に着きました。特に展望台として整備されている様子ではなかったのですが、突如現れた気持ちの良い見晴らしには感動します。ただ、ここからだとまだループ橋を望むことが出来なかったので、もう少し進んでみます。
「ブランド薬師」の「ブランド」の由来は参考文献によって揺らぎがありますが、お堂がぶらんぶらんと揺れたことにより名が生まれたといわれています。不落堂、フラン堂、ぶらん堂などの名称として多くの古文書に残されており、1859(安政6)年には歌川広重の「諸国名所百景」にも描かれていました。そのため、古くから善光寺参りにあわせて立ち寄る名所としてあったことがうかがえます。
八櫛神社の創建は、社伝によると802(大同2)年といわれていますが、1847(弘化4)年の善光寺地震で崩落、今の社殿は1861(文久元)年の再建です。お堂からは、ループ橋のヘアピンカーブにあたる部分が眺められました。肝心の一回転している箇所は、手前の木々によって隠れてしまっていますが。
どっしりと佇む 浅川ダム
八櫛神社の鳥居まで戻り、さらに先へ進むと浅川ダムが見えてきます。2017年に完成した浅川ダムは、治水専用のダムとして普段は水を貯めない流水型ダムという特徴を持ちます。堤高は53メートル。ダムの大きさに気圧されるのも、また一興です。
重力式コンクリートダムは、水によって押される力をダムの重さで支える構造となっています。全国的によく見られる形式。上部に6つある四角形の細長い門は、非常用洪水吐きと呼ばれます。洪水時などダムにおさまりきらなかった水は、この門から流れる仕組みです。
普段の水は堤体の低い位置に開いている穴(常用洪水吐き)から流れていきます。穴の中には階段状の魚道があり、魚が遡上しやすいような工夫がされているのだとか。
遊歩道を歩き、ダムの一番高いところまで登ります。天端は歩道となっており、歩くことが出来ます。展望広場からは上流側からのダムの姿を臨めました。下流側で見たダムの印象と違ったように見えますね。
浅川ダムでは「ダムカード」が配布されています。長野合同庁舎や飯綱高原観光協会にて頒布されているので気になる方はぜひ。