【登山レポ】憧れの大キレットに挑戦してみた。

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今回は、槍ヶ岳から穂高連峰を縦走するコースを歩いたときのレポ。

岩の殿堂と称される、3000m級の穂高連峰。普段の登山は歩きがメインだけど、ここは岩々が連なる場所。両手両脚を総動員して越えていきます。またふっと顔を上げると、北アルプスの絶景が広がる、素晴らしいコースです。

これは通称大キレットと言われるルート。滑落の危険がとても高く、よく注意して慎重に臨む必要があります。筆者も八ヶ岳のキレットや劔岳で練習をしたり、撮影しながら歩いた方の動画などで予習したりしました。

キレットとは「切戸」と書くそうです。横から見ると、稜線から、戸の形、つまり長方形の一部で切り取った凹の字のような形をしているから、と聞いたことがあります。

この槍ヶ岳から穂高連峰のあいだのキレットは特に険しいためか、「大」が付いています。急峻な岩場が続くルート。信州の激しい岩場を歩いて感じたことを綴ります。

最初に、今回の山行の行程を簡単にご紹介。

【1日目行程】
松本→(公共機関)→上高地→槍ヶ岳山荘
【2日目行程】
槍ヶ岳山荘→大キレット→北穂高小屋→穂高岳山荘
【3日目行程】
穂高岳山荘→奥穂高岳→前穂高岳→上高地

1日目は、上高地から槍ヶ岳山荘を目指す!

【1日目行程】
松本→(公共機関)→上高地→槍ヶ岳山荘

初日の朝、上高地。緊張の山行を後押しをしてくれているかのような好天。

河童橋から、穂高連峰をパシャリ。

上高地は国の特別名勝と特別天然記念物に指定される場所。シンボルの河童橋や、雄大に構える穂高連峰、梓川の美しい流れや音といった環境は、他では味わえないでしょう。

焼岳もパシャリ!可愛い顔して、実はとてもアツいです。

登山疲れが吹き飛ぶ美しさだった、槍ヶ岳からの絶景と夕日

槍ヶ岳を目指して、20㎞の道のりを登っていく。槍ヶ岳が姿を現しました。あと少し!

槍ヶ岳の山頂に行きました!この日は雲が下と上にあり、なかなか見ることができない景色を生み出していました。

ちなみに、槍ヶ岳への登山レポも書いています。

これは、公共交通機関で行ける上高地に登山道で行く、徳本峠越えをしてから槍ヶ岳に登ったときのレポです。併せてお読みください。

西に目をやると、荒々しい硫黄尾根が見えます!

北には水晶岳も見えています。黒い山体から黒岳ともいわれています。かっこイイ!雲は多いですが、見通しは文句なしです。

高層の雲が太陽の光を抑えてくれて、静かな雰囲気の写真が撮れました。

遠くの空の色が変わってきました。夕暮れが近いです。

山が雲に埋もれそうです。

これは西鎌尾根といい、槍ヶ岳の西にのびている尾根。よく見ると登山道が白い筋のようにあるのがわかります。

綺麗な雲海の向こうには青空が見えています!

雲をまとう峰々。遠くには雲の山が。

空の色のグラデーションの変化が本当に美しい!

旧2等三角点です。

穂高連峰、なんとかっこ良い!どっしりと構える岩の殿堂。荒々しい姿が雲の中から浮かび上がっています。

山頂から下り、槍ヶ岳山荘のデッキへ。

いいところに人が立っています。特等席ですね!

続々と人が集まってきます。

ついに日没の瞬間!まるで彗星のよう。

神々しさすら感じる日の入り。

日没後の槍の穂先。かすかに赤らんでいます。薄暗い中、静かにたたずむ姿にいつも不気味さを感じます。

松本市方面を撮影。遠くには八ヶ岳、南アルプスや富士山が見えています。

2日目は、大キレットを歩く

槍ヶ岳のキメ顔を拝み、大キレットに向かう

【2日目行程】
槍ヶ岳山荘→大キレット→北穂高小屋→穂高岳山荘

この日はいよいよ大キレットへ。天気は申し分なく、風も弱い。普段以上の緊張感でキレットへ向かいます。

振り返ると最高にかっこ良い槍ヶ岳が!宿泊した槍ヶ岳山荘も見えています。

こちらは百名山の笠ヶ岳。なかなかシブいお山です。奥に見える山は、霊峰白山!

槍ヶ岳山荘から3時間弱。いよいよ大キレット!

大キレット方面を見てみます。深くえぐれているのがよくわかると思います。しかも登山道の幅が狭い!

さらに、両側がスパっと切れ落ちています。

大キレットに突入。前半の長谷川ピークまで。

獅子鼻。

ひたすら急坂を下り、振り返ってみます。下の方に人がいます。かなり岩々した急斜面に登山道が作られていることがわかりますね。

目指す頂は遠く、そして標高的に相当高いところに…

ところどころの平らなところには、このようにハイマツが自生しています。

ふと顔を上げて右を見ると、飛騨・越中の山々がずらり。

黒部五郎岳、双六岳、三俣蓮華岳や樅沢岳などが普段見ない角度で見えています!

手前にある小高いピークは、長谷川ピークといいます。登山道はこのピークを巻いていなので、登ります!

遠くの山並みに癒されながら、激しい岩道を突き進む。

長谷川ピークに到着!振り返って撮影。歩いてきた道がよくわかります。

これから通る道。おや、さっきより稜線が狭いぞ。

岩場を通過するには三点確保という基礎技術が必要です。四肢のうち三点で岩を捉えている必要があります。それにしても荒々しい岩肌。しびれます。

本谷カールを上から見下ろす。カールが作る曲線はとても良い塩梅で、大好きです。9月だというのに雪がまだ残っています。

おお!

常念岳が美しい。こちらも普段とは異なる角度から。景色を楽しんだら出発です。

長谷川ピークからの下りは、このナイフのように鋭い稜線を伝って進みます。ナイフリッジと呼ばれるポイントです。

ナイフリッジを、信州側(写真奥)から飛騨側(手前)に乗越ます。飛騨側は特に絶壁。こちら団体さん。レベルの高い方々ですね。

団体さんのおかげで登山道がどこにあるのかよくわかります。

大キレットのゴール、北穂高岳が聳えています。

A沢のコル。コルは英語で、日本語だと鞍部のこと。ここは小さな広場になっており、落ち着いて休憩できます。

こんな感じ!遠くには笠ヶ岳が。展望抜群です。

A沢のコルに至る登山道。橋の向こうは、見るだけではルートがわかりません!

今回は団体さんのおかげでよくわかりました。全身を使って越えて行きます。風やザックの重みでバランスを崩さないよう、岩をしっかりとグリップしましょう。

ここまでの全景を。長谷川ピークよりも標高が高くなりました。本谷カールを横から見る構図、素晴らしいです。

丸いペンキマークに従って進みます。岩をよじ登るために、全身を四肢をフル動員。ちなみにこの辺りから、「飛騨泣き」と呼ばれる難関箇所。

このように、下は崖。手足で岩をしっかり掴みます。もう一体化したいくらい。全身を使っていると、普段の歩く登山とはまた異なる楽しさを覚えます。

慎重に進みます。

登山道ではないところに人が!

この巨大な岩の壁。この迫力、他の山にはなかなかないのではないでしょうか。

浮石とは、圧力をかけると動く石。身体を預けてはいけません。梯子を使います。

おや可愛らしい!トウヤクリンドウでしょうか。

北穂高小屋に到着。ひと休みののち、この日の目的地、穂高岳山荘へ発つ

堂々たる山容。悠々と伸びる尾根の先に、穂先がちょこんと据えられている。筆者はここから見る槍ヶ岳が一番好きです。

地層が斜めになっているのがわかるのも胸アツポイント。

北穂山荘のデッキにイワヒバリと思われる鳥が!

穂高連峰には、〇穂高岳が4つあります。今回登頂した北穂高岳。最高峰の奥穂高岳。西穂高岳、前穂高岳。

この山行では西穂高岳以外に登頂しました。

ナイフが天に突き刺さっています。

横から見る雲。いかに高所にいるかがわかります。

さて、次は涸沢岳に向かって、この道を進みます。こちらは名前がついてないと思いますが、険しいルートでした。

大キレットでは隠れて見えなかった、あの有名な涸沢カール。紅葉は日本有数だと言われています。

遠くには涸沢ヒュッテが。そこから上に目をやると、ゴジラの背中を思わせる前穂高岳の北尾根が。

岩だらけのところをひたすら下ってきました。

涸沢ヒュッテを望遠レンズで。色とりどりの点々が打ってあるかのようなテントたち!いいな、涸沢カールで1週間くらいのんびりしたい。

涸沢岳までは、細いですが手は使わず歩いて行けそうな道です。強風の日は危険ですね。

青空と、雲と、岩と、植物たち。

荒涼とした岩肌でも、植物はすき間を見つけて顔を出します。

チェックポイント、最低のコル。味のある道標ですね。穂高の穂がカタカナです。

葉と花が同じ色をした植物。

途中、ハシゴや鎖がありました。

岩場はなぜもろくなるのか。これは、水が冷えて氷になると体積が大きくなることと関係しています。

岩にしみ込んだ水は秋以降朝晩の冷え込みで氷になったり戻ったりします。このことで、今までくっついていた岩は無理やり剥がされるのです。

涸沢岳に登頂!

本日のゴール、穂高岳山荘が見えてきました。この急坂を下れば休めます!

雲と岩、何度見ても飽きない美しさです。

明日目指す前穂高岳が雲の間から姿を現しています!この日は西側の雲が取れず、夕陽はお預け。

3日目は、穂高連峰の最高峰、奥穂高岳へ!

3000mの穂高岳山荘からの御来光。

【3日目行程】
穂高岳山荘→奥穂高岳→前穂高岳→上高地

この日もいい天気!清々しい日の出です。

影常念岳。そして奥には重なる山々。里よりひと足はやく、朝を迎えます。

これから目指す奥穂高岳の山体が薄橙色に!

涸沢カールにも朝がきます。

穂高岳山荘の様子。さて、準備を整えて出発しましょう。

日本で三番目に高い奥穂高岳から、360°の大展望。

奥穂高岳の山頂近くまできました。遮るものがなくなり、視界が開けます!写真左はジャンダルムというピーク、今回は行きません。

白山が綺麗に見えています。手前の高山の盆地は雲に隠れて今います。

ドシンと腰かけているような笠ヶ岳。山頂付近のピラミタルな形はいつ見てもかっこいいです。笠ヶ岳は地層が斜めになっていないようで、筋が横に入っていますね。

真ん中手前は焼岳。今でも時々噴煙を上げています。左奥の山は、手前から乗鞍岳、御嶽山。

日本で三番目に高い、奥穂高岳に登頂。

南アルプスと富士山!

富山方面を見ると、黒部五郎岳がカールとともに見えています。

そのさらに奥には、薬師岳。薄茶色の山体が美しいです。

前日の出発地点、槍ヶ岳。

黒い山は、筆者が勝手に北アルプスの臍だと思っている水晶岳。

この日は本当に天気が良かった!

ギザギザの岩肌。さすがは岩の殿堂と称される穂高連峰。

緑の絨毯が敷き詰められたかのような上高地と周辺の山々。黄葉の美しさは別格です。奥には乗鞍岳や御嶽山も見えています。

奥穂高岳をあとにします。

吊り尾根を進み、前穂高岳を目指す。

右前方の前穂高岳を目指します!このルートは吊り尾根と呼ばれています。こちらも滑落者が多いルート。

西穂高岳方面を望みます。穂高連峰の中では西穂高岳は標高が一番低い(2908m)。写真のように雰囲気も他の穂高岳とは異なる印象。どんな山なのかとても気になります。

紀美子平まで来ました。ここは前穂高岳の山頂方面と上高地への下山路方面の分岐点です。

前穂高岳に登頂!

下を見ると、こちらにも登山道ではないルートで登ってくる方々が。すごいなぁ!

前日に越えてきた涸沢岳。左の鞍部には、お世話になった穂高岳山荘。

槍ヶ岳から、今まで歩いてきたルートがある峰々が見えています。槍ヶ岳から稜線をたどっていくと、途中で凹んでいるのがわかるでしょうか。大キレットです。

槍ヶ岳の右奥には富山県の立山連峰が見えてきました!

上から見ると箱庭のような上高地。

先ほどとは少し違う角度から、焼岳、乗鞍岳、御嶽山。真ん中を流れる川は、梓川。のちに犀川、千曲川、信濃川となる河川です。焼岳から梓川をはさんで反対側にある山は、霞沢岳、その手前にくっついているのは六百山。小梨平(バスターミナルがある付近のこと)の名峰です。

拡大すると、林の中にぽつりと帝国ホテルが建っているのがわかります!その左下の長方形に整地された場所は、上高地バスターミナル。歩くとそこそこ時間がかかりますが、3000mから見ると近く見えます。

さらに奥には、大正池が小さく見えています!

上高地の最奥地、横尾がはっきり見えています。

山小屋や川の合流がよくわかります。

後ろ髪をひかれつつ、上高地を目指して下山。

奥穂高岳と西穂高岳の並び。山容の曲線美に心惹かれます。

焼岳は、山頂付近が剥げています。ときどき小さな噴煙を上げている山です。

紀美子平を離れ、重太郎新道と呼ばれる下山路をひた下ります。見える景色が変わっていくのは楽しいですね。上高地が近くなってきました。

もうだいぶ降りてきました。先ほどまで歩いていた稜線があんなに遠く、高いところにあります。別世界から戻ってきた気持ちになります。

岳沢山荘に到着。急な登山道はここまで。ここからは上高地に向かって伸びる沢、岳沢をに沿って下ります。

落ち着く緑の回廊。

岳沢湿原です!上高地まで下りてきました。水の気配なき穂高連峰の殺伐とした世界とは全く違います。

上高地の湿原は水がとにかく美しいですね。大量に湧水があるのでしょう!

季節は9月。空が高いなと思っていたら、上高地には薄が。ひと足はやく季節が進みます。

最後はお決まり。

ズンズン歩く登山もいいけれど、岩をがっしり掴み、手で山を感じるといつもとは違う愛着が湧いてきます。

安易にお勧めできないルートですが、正しい認識を持って臨めば存分に岩場を楽しめるコースです。

ちょっとスキマな登山レポは別記事:【徳本峠登山】上高地〜槍ヶ岳登山レポもご覧ください!

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この記事を書いた人

おーむら

山と温泉と、なにより信州が大好きな神奈川県出身・在住のフォトグラファー。
週末のほとんどを信州に費やす信州オタク。趣味は登山、スキー、日本酒。信州の奥深さをみんなと共に感じたいと願っている。