信州伊那谷で活躍したさすらいの俳人「井上井月」の句碑めぐり

こんにちは、南信州でウクレレ奏でて7年目のカジノです。

 

「住んでいると、地元の史跡や観光地には目が向かない。」

こんな話、よく耳にしますよね。

 

外から見るともったいない!と思いがちですが、僕らも実は地元のすごいスポットや偉人を見逃しているのかもしれません。

江戸時代後期〜明治時代に活躍した俳人 井上井月(いのうえ せいげつ)もそのひとり。のちの芥川龍之介や種田山頭火、つげ義春などに影響を与えたとされています。

そんな井上井月の句碑は伊那谷に約25基残っており、今でも地元の人々に愛され続けています。

今回は僕の地元・南信州の伊那市で見つけた、井上井月が織り成す伊那の面白い一面をお伝えします。

 

読んだら伊那市の街歩きがちょっぴり楽しくなる・・・かも?

井上井月とは?

文政5年(1822)越後長岡に生まれ、その後18歳で上京、芭蕉に傾倒し俳句の道に進んだそうです。

嘉永5年(1852)31歳で初めて伊那谷を訪れ、その後30年以上も伊那谷で俳句を作り続け、明治20(1887)66歳でこの世を去りました。

伊那市では多くの俳句を残した他、書にも長けていたため、井月が残した書も多く残っています。

井月の文才は芥川龍之介種田山頭火など後世の作家などに影響を与えましたが、その名が世間に知られることは殆ど無く、死後数十年経ってからようやく全集が編纂されるほどでした。

なお

藤岡 筑邨 1975『信濃路の俳人たち』信濃毎日新聞社
中井 三好 2007『漂泊の俳人 井上井月記』彩流社
春日 愚良子 2010『信州二人の放浪俳人 一茶と井月』ほおずき書籍

以上3冊を参考にしています。

 

句碑を巡ってみた!

今回巡ったのは伊那市を東西に流れる三峰川沿いのウォーキング・サイクリングロード。

道沿いにいくつかの句碑が並んでいます。

伊那市の公式HPにアップされている「井月吟行マップ」を参考に巡ってみました。

こちらのサイトから閲覧、ダウンロードできます、ぜひ一度目を通してみて下さいね。

それでは、ここからは僕が巡った句碑たちを一つずつ紹介していきます!

 

伊那市役所から1km、公園傍の句碑からスタート!

       稲妻や ひかり打ち込 夜網かな

今回の句碑巡りのスタート地点は伊那市役所から三峰川沿いを東に1キロほど移動した「三峰川榛原河川公園」です。

夜の投網漁の様子と夜の稲妻を瞬間的に描いた句。光る稲妻と夜の投網という一瞬の明暗の対比が美しいですよね。

 

         小流に 上る魚あり 稲の花

田んぼが黄金色に染まる伊那谷らしい秋の句です。田んぼへ向かう小さな流れとそこを泳ぐ小魚に目を向ける井月の鋭さを感じますよね。

 

       若鮎の 瀬に尻まくる 子供かな

僕のお気に入りの句のひとつです!鮎の泳ぐ川で子供たちが水遊びをしている・・・。

なんともほのぼのな伊那谷の風景が浮かんできませんか?

 

        子供には またげぬ川や 飛蛍

最後は飛蛍(とぶほたる)と読みます。

蛍といえば清流の象徴、伊那谷を流れる川は今よりずっと綺麗であったのでしょう。今でも十分綺麗ですが、この句に出てくるような流れを見てみたいものです。

この句碑で三峰川左岸から折り返しです、ここからは右岸の句碑たちを見ていきましょう。

 

        稲妻や 藻の下闇に 魚の影

藻の下に隠れていた魚たちが稲妻を合図に飛び出した、その瞬間を描いています。何気ない瞬間を描くのが本当に上手い一句ですね。

 

        あけやすき  夜日に継ぐや 水車

古くはどの集落にも水車が設置され、動力源として農業に利用されていたそうです。井月は夜明けにその水車を見て情趣を感じたのですね。

その感受性には思わず脱帽です。

 

        菜の花に 遠く見ゆるや 山の雪

この句碑の後方には、青々とした田んぼと中央アルプスが織りなす景色が広がっていました。

残念ながら菜の花の季節はとっくに終わっていましたが、春の伊那谷で目を引く菜の花と山に残る残雪のコントラストが目に浮かぶ一句です。

 

         楽しみは 浅瀬に深し 蜆とり

伊那谷でも汚れのない小川には蜆(シジミ)も生息していたそうです。

井月もたまには俳句のことを忘れてシジミとりに熱中していたのでしょうか。もしそうならちょっとお茶目な一面が見え隠れする一句ですね。

 

       除け合うて 二人ぬれけり 露の道

秋の朝、道端の草には朝露がついています。この句では、畦道ですれ違う二人が互いに道を譲ろうとしたために二人とも露に濡れてしまっています。

今では露を結ぶような畦道も徐々に少なくなっています。

 

三峰川沿いの句碑、9基をめぐりました。

終わったー!

僕らが守りたい風景を教えてくれる句をもって、三峰川沿いの句碑めぐりは終了になりました。

暑かった・・・。熱中症には気をつけながら巡ってくださいね。

 

伊那市の中心にも句碑が・・・

今回の句碑めぐりの帰り際に、伊那市駅近くの橋に寄ってみました。三峰川沿いに建つ伊那市役所から市内循環バスに乗って通り町のバス停で降ります。

伊那市駅のちょっと北、天竜川に注ぐ支流の小沢川に小さな橋が掛かっています。

実はこの橋、物凄くスキマな句碑スポットですが、市民の皆さんは気にもとめずに歩いて行ってしまいます。

 

        柳から 出て行船の 早さかな

橋の上には井月の句碑が置かれています。天竜川に船の往来が見られた当時、伊那市には天竜川船着場がありました。

今では史跡としての石碑しか残っていませんが、井月のこの句にもその面影を感じられます。

そしてこのスポットはこの句碑だけでは終わりません・・・。

 

        あの水この水 天龍となる水音

なんと自由律俳句の天才、種田山頭火の句碑が向かい合うように置かれているのです!

井月と直接の交流はありませんでしたが、山頭火は井月の句に影響を受けていたと言われています。

井月の死後、山頭火は伊那の地を訪れ墓参りをしたと伝えられています。俳句マニアの皆さんは鼻血を出さないように気をつけながら見てくださいね。

 

伊那の句碑めぐり、まとめ

井月句碑などの井月の足跡はここで紹介したものの他にも伊那市内に点在しています。

しかし多くの人が素通りしてしまうのです。これはとても勿体無いことだと思います。

他の土地でも自分が見逃している面白い”何か”が眠っている気がしてきますよね。

この記事を読んだ皆さんも、これまで見逃していたスキマなスポットを再発見しに出かけてみませんか?

 


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高山村

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この記事を書いた人

カジノ

信州でウクレレ弾いてる気ままな大学生。
たまにクラリネットでジャズやってます。今は勉学に励むけど、早く時間をつくって県内をふらふらしたい。
99歳で悟りを開く人生設計がある。