秋の気配を感じるようになってきた今日この頃。カラマツの葉っぱも黄色みを帯びてきて、写真をたしなむ者として紅葉の季節への期待も膨らんできます。
そこで今回は、去年の紅葉の時期に松本市の乗鞍高原を訪れた際の記録を写真とともに綴っていきたいと思います。
僕個人的には、今撮ればもっと綺麗に残せたなぁと思うような写真ばかりですが、今年の秋の紅葉狩りの参考にでもなれれば幸いです。
10月中旬。松本盆地の秋が始まって間もない頃
秋の気候に身体が慣れ始めた頃、身の回りの自然もだんだんとその姿や色を変え始めます。
私の主要な情報源であるTwitterには北海道や東北の紅葉真っ盛りの美しい画像が流れてくるようになり、自らの撮影に対する欲求も募ってくる頃でもあります。
中部地方の紅葉の見頃はあと半月以上は先。松本の木々もほとんどは元気をなくした緑色をしています。
しかしこの信州の地には、高原という季節を先取りしてくれる素晴らしいフィールドが数多く存在するのです。
思い立ったが吉日。当時交通手段が原付バイクしかなかった僕は、リュックにカメラとレンズを詰め込み、三脚をくくりつけ、しっかり厚着をして乗鞍高原へ向かいました。
野麦街道を西へ。秋風が気持ち良いスローペースツーリング
松本盆地に住む方なら誰しも通ったことがあるであろう、国道158号 野麦街道から島々谷への道。だいたいこの道を使うときは、登山やハイキング、スキーなどのレジャーが目的です。多くの人はこの道を西に向かうだけで自然とワクワクするのではないでしょうか。
それ以降コンビニエンスストアが無くなってしまう島々のセブンイレブンで昼食と飲み物を買いつつ休憩し、山道に入ります。
大分上まで上がってきました。馬力の無い原付バイクで山道を昇るのは一苦労です。こちらは水殿(みどの)ダム。この手前の稲核(いねこき)ダムとこの先にある奈川渡(ながわど)ダムとともに「安曇3ダム」に数えられます。
若干リフレクションしていて綺麗でした。しかし木に色づきがそれほど無く、まだ時期が早かったのかなと若干心配になってきます。
こちらが奈川渡ダム。高さ155メートルのアーチ式コンクリートダムで、日本でも最大級のアーチダムとなっています。乗鞍高原まであと20㎞、頑張って登っていきます。
雲行きが怪しい中、まずは最上部の三本滝へ
標高を稼ぐとともに気温が下がっていき、高原に着く頃には予備で持ってきておいたダウンを着ることに。やはりバイクは身体が冷えます。乗鞍高原の中心地、乗鞍観光センターでひと休みします。
ここから湿原が美しい一の瀬園地や、大迫力の全五郎の滝などへ向かえるのですが雲行きが怪しいので先にさらに上にある三本滝を目指します。
ガスが濃くなっていく山道をひたすら登ります。三本滝レストハウスにバイクを停め、小雨の中30分程度のハイキングをします。道がぬかるんでしまっていましたが、しっとりとした森もなかなか気持ちが良い物です。
道中コガラの群れに遭遇。かなり遠くでしたがなんとか証拠写真程度に撮影出来ました。写真には収められませんでしたがルリビタキにも出会いました。
三本滝に到着。三脚を取り出し撮影を開始します。
三本滝全景。写真左から「無名沢の滝」、「本沢の滝」、「クロイ沢の滝」です。
特にクロイ沢の滝はしぶきが飛んでくるくらい間近から見ることが出来、迫力満点です。
スローシャッターで滑らかな水流の描写に。三脚を背負って持ってきた甲斐がありました…。
水が飛び出して来るような勢いのある滝も良いですが、このように水が岩を這うようにして流れる滝も趣がありますよね。
撮影に満足したところで同じ道を戻り、一の瀬園地方面へ向かいます。
道中思わずバイクを降りて見とれてしまった絶景
三本滝から再びビジターセンター方面へ下りる途中、思わぬ絶景に出くわしました。
いつの間にか広がっていた青い秋空と、黄金色に染まる山並み。来たときにはおそらくガスの中で見えなかったのでしょうが、帰りには素晴らしい絶景が広がっていたのです。山の天気は変わりやすいと言いますが、それがこのような感動ももたらすこともあるものです。
季節を問わず楽しめる名撮影スポット。一の瀬園地 まいめの池
次に向かったのはまいめの池。春と夏に訪れたときとても良い雰囲気だったので必ず行こうと思っていたポイントです。
こちらは夏に来たときの写真。乗鞍岳と星空を池のリフレクションとして写しこむことが出来ました。果たして秋はどのような表情を見せてくれるのでしょうか。
澄んだ青空と鮮やかな山肌。高原に湛えられた澄んだ池が見事にそれを映し出し、秋も見事な風景を作り出していました。
風が無ければ色づいた木々がリフレクションしてさらに美しい光景となるのですが、この日は風が強くなかなか綺麗に反射してくれませんでした。
しかしこれはこれで油絵のような綺麗な色使いにも見えますね。
高原に立つ名木。燃えるように鮮やかな大カエデ
Googleマップを見てみると、一の瀬園地の南側に立派なカエデがあるようなので見に行くことに。
青い空に起立する燃えるように赤い1本の大カエデ。予想以上に見事な物でした。
本当に「絵」になる風景だなと感じました。この日行ったスポットの中で一番観光客もカメラマンも多かったかも。
ローアングルで撮影、魚眼で落ち葉が散りばめられた地面から木がそびえ立つ空までを写し込めました。
木の下にはモミジの赤い絨毯…綺麗です。紅葉撮影を十分に堪能し最高の一日を過ごした僕は、また野麦街道を東に進み松本へ帰ったのでした。次の季節の乗鞍はどんな表情を見せてくれるのでしょうか。
信州の高原には、予想以上の秋が一足早く訪れていた。
平地にいては予想も付かなかったくらいの秋の彩りが、乗鞍高原には一足早く訪れていました。秋になってきたなあと思い始めたら、信州の各地の紅葉情報を是非見逃さずにチェックしてみて下さい。秋を感じ始めた頃に、高原ではもう木々が色づき始めているはずです。
僕が書いた上伊那の撮影スポット記事も、よければご覧ください。
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