長野県には国指定の名勝が5つあります。寝覚の床、光前寺庭園、天竜峡、米子大瀑布群。
そして今回ご紹介する姨捨(田毎の月)。日本の棚田100選に指定された棚田もあります。「見たことあるよ」って方もいらっしゃるかと思いますが、姨捨周辺の楽しみ方や絶景ポイントなどをご紹介します。
・撮影スポットを探している
・散歩がてら絶景が見たい
・落ち込んだので夜に泣ける場所が欲しい
なんて方に楽しく読んでいただけるかと思います。
姨捨山の伝説とは?簡単におさらいしておこう
いつかしっかり記事にしたいので簡単にまとめると、信州ではこのようなお話が伝えられています。以下、私の意訳。
国のお殿様が「老人は食べるだけで労働力にならず、使えないので山に捨てなさい。」とおふれを出しました。60歳になった母を捨てることになってしまった青年は泣く泣く山におばあさんを捨て置くために母をおんぶして歩きます。しかし自分が無事に山を降りられるようにと心配りをしてくれていた母の知恵と優しさを見て思い直し、隠れて母を匿うことに。
その頃隣の国から無理難題を押し付けられたお殿様は、国中に「この問題が解けたものの望みをなんでも叶える」とおふれを出します。青年はその問題の答えを母から教えてもらい、問題を見事に解決します。お殿様に望みを聞かれた青年は「実は、この問題を解いたのは65歳になった僕の母です。老人を山に捨てるおふれを取り消してはもらえないでしょうか」と頼みました。老人の知恵に感動したお殿様はおふれを取り消し、姨捨の風習はなくなったのだそうです。
これは、仏教の「雑宝蔵経」の説話「棄老国縁」を元にしていると思われます。信州でも昔からこの説話を大切にし、この教訓を元にした民話を作ったのでは(と思いたい)。ブッダはたとえ話をしながら大衆にもわかりやすく説くことが多く、日本の民話にもたくさん取り入れられています。
ちなみに「雑宝蔵経」では老人を捨てる国で父親をかくまったお話が出てきます。同じように隣国から難題を出され、それを父親が解決して老人を捨てないようになったというもの。
「姨捨」の名前が出たのは別の話。今昔物語か大和物語か、その辺(またしっかり勉強します)。母親を早くに亡くした青年が育ててもらった姥を、妻に言われて捨てることになってしまったってストーリーですね。
わが心 慰めかねつ 更級や 姨捨山に 照る月を見て
結局また戻って姥を連れて帰った、と安心のオチがつきます。あれ、簡単のつもりが少し書きすぎました。絶景も、こんな伝説や歌を知っておくとまた味わい深いはず!
日本三大車窓の夜景が美しい「姨捨駅」
日本三大車窓、姨捨山(冠着山)の中腹にある姨捨駅。
駅は無人ですが、構内には「姨捨伝説」にまつわる資料などが展示されています。
夜の姨捨駅はなんだか、空の上にいるような気持ちになりますね。
写真では分かりにくいけれど、姨捨駅のベンチは線路でなく景色の方に向いています。ちょっとした心配りも人気観光スポットたる所以。
ちなみに昼間はこんな感じ。姨捨の棚田もきれいに見えます。
名物「スイッチバック」と善光寺平の夜景を映せるのもポイント
駅のホームから夜景を撮っているのに、上から電車が撮れる謎。
これは姨捨駅が全国でも珍しい「スイッチバック式」を採用しているからなんです。
夜景のイメージは少ない長野県ですが、姨捨は県内でも1,2を争う夜景スポットだといわれています。観光列車「ろくもん」の「姨捨ナイトクルーズ」なども企画されており、観光地としても人気。
スキマな絶景スポット「姨捨公園」にも
姨捨駅から徒歩5分ほど、姨捨公園も絶景!元々は何か史跡があったのでしょうか?丘のようになっており、善光寺平を見下ろせるようになっています。
「姨捨山 長楽寺」
姨捨といえば山の中腹にある長楽寺も景勝地として見どころがたくさんあります。詳細はごしゅメモの名勝 姨捨山 長楽寺の御朱印もご覧くださいね。
撮影ポイントはまず観音堂横にある奇岩。
観音堂を降りた奥の月見堂からの景色もまた、特別美しいものがあります。
月見堂裏には「姨捨十三景」の「宝ヶ池」がありました。
姨捨十三景は1833年以前に長楽寺で頒布されていた絵図に描かれていた名所。有名な観光スポットでもある姨捨に来た証にもなり、お土産としても人気だったようですね。
息を飲む「姨石」からの絶景
そんな十三景の案内図からふと見上げると、先ほど見た奇岩に登れることに気づかれるかと思います。
低めの柵の向こうに広がる圧倒的な絶景。うっすらと飯綱山や戸隠山なども望みますが、今日は春霞でぼんやりとしていました。
少し目線をずらせば有名な「田毎の月」の名所、棚田もバッチリ視界に入ります。
田毎の月が見える棚田は、絶叫マシン顔負けのスリルがある・・
田毎の月で有名な棚田は、山に這って47枚の田んぼが階段のように連なっています。古今和歌集などでも歌われている田が今も現役で使われていることも驚きですね。ここでは最近私が体験したおすすめの楽しみ方をご紹介します。
棚田を縫うように作られた農道を通ってみよう!
こんな感じの道がくねくね続きます。柵のない農道なので、運転や歩行には十分気をつけてくださいね。
姨捨の楽しみ方はいろいろ。何度でも行きたくなる
昼でも夜でも冬でも夏でも楽しめる姨捨。きっと何度行っても新しい発見と感動があなたをお待ちしています。