「しなの鉄道」フリー切符でまち歩きライターが途中下車の旅

「しなの鉄道」フリー切符でまち歩きライターが途中下車の旅

こんにちは!まち歩きライターのむーさんです。

鉄道沿線まち歩きシリーズ第5回は、軽井沢町と長野市を結ぶ第三セクター・しなの鉄道線です。

しなの鉄道はどんな路線?

しなの鉄道線は軽井沢町の軽井沢駅と長野市の篠ノ井駅間を結ぶ全長約65kmの路線です。かつては全区間がJR(旧国鉄)信越本線の路線であり、北陸新幹線が長野駅まで開通した1997(平成9)年にしなの鉄道へ移管されました。

かつてのような首都圏〜北陸方面を結ぶ長距離列車の往来はなくなりましたが、小諸や上田といった東信地区の主要都市をつなぐ地域の足として、現在に至ります。

長らく国鉄時代からの車両が数多く走る路線として親しまれてきましたが、近年では新型車両が増えてきており、その姿を少しずつ変えつつある路線でもあります。

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しなの鉄道の新型車両・SR1系

そんなしなの鉄道線にお得に乗ることができるのが、「軽井沢・長野フリーきっぷ」です。

しなの鉄道線の軽井沢〜篠ノ井間、ならびに直通するJR信越本線の篠ノ井〜長野間が1日乗り放題となります。

JR線区間を含めると総延長70km以上にも及ぶ長距離のフリーきっぷ。当然、沿線の見所もたくさんあります。距離が長いため、その全てを網羅することは難しいですが、1日でできる限り回ってみました。

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軽井沢・長野フリーきっぷ

鉄道の歴史を感じる軽井沢駅からスタート

今回の旅は、朝の軽井沢駅からスタート。

軽井沢駅は新幹線が発着する比較的大きな駅舎を有していますが、しなの鉄道線にはそれとは別に、「旧駅舎口」という出入口があります。

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軽井沢駅旧駅舎口

軽井沢駅の旧駅舎は既に解体されていますが、その旧駅舎を復元して、観光列車「ろくもん」の待合ラウンジやカフェなどを併設した施設として利用されています。

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平成29年までは軽井沢駅舎記念館として営業していた
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軽井沢駅旧駅舎口の待合室

さらに駅構内には、しなの鉄道への移管と同時に廃止された信越本線の横川(群馬県安中市)〜軽井沢間で運転されていた機関車などが展示されています。全国屈指の山越え区間として知られていた同区間の歴史を垣間見ることができる、貴重な施設となっています。

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横川~軽井沢間で活躍したEF63形電気機関車

信越本線時代の駅名標も残されています。今では乗ることのできない線路に想いを馳せながら、先へ進んでいきたいと思います。

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かつての駅名標。軽井沢~横川間は1997年に廃止になっている

浅間山がよく見えるのは、御代田~信濃追分間

軽井沢駅を後にして、まずは小諸方面へと向かっていきます。駆け足にはなりますが、この区間の駅と車窓を少しずつご紹介していきます。

まずは軽井沢駅のお隣、中軽井沢駅から。

中軽井沢駅は、星野温泉ハルニレテラスといった観光スポットへの最寄り駅です。別荘地への玄関口となっているため、軽井沢駅よりも落ち着いた印象のある駅前です。

中軽井沢駅の駅舎は、地域交流施設「くつかけテラス」が併設されており、町立図書館も有した非常に大きな建物となっています。

駅周辺には朝から営業している飲食店もあり、モーニングを楽しみつつ駅前を散策、というのも面白いですね。

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図書館併設の中軽井沢駅
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軽井沢~小諸間は、北側の車窓に浅間山が迫る、とても景色の良い区間となっています。その中でも途中の御代田〜信濃追分間は、なだらかな裾野越しに浅間山の姿を眺めることができる区間となりますので、ぜひ車窓に注目してみてください。

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御代田~信濃追分間から望む浅間山

今回は小諸駅の1つ手前、平原駅で途中下車。周辺の駅と比べるとこじんまりとした印象のある平原駅ですが、その特徴は何と言ってもこの駅舎です。

何の変哲もない小さな駅と思われるかもしれませんが、鉄道好きならピンとくるでしょう。そう、平原駅の駅舎は国鉄時代の貨車を利用したものなのです。

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国鉄時代の貨車を活用した平原駅

貨車を活用した駅舎は、北海道では多くの駅で見られるものの、他の地域では非常に少数派になっています。大半はすでに建て替えられているようですね。

ところどころ古くなっているのが多少気にはなりますが、これはこれで旅情を感じられるかもしれません。こうした途中駅に立ち寄ることができるのも、フリーきっぷの醍醐味だと思います。

音声ガイドのクセが強い、小諸市街地散策

小諸駅に到着。

ここまで立ち寄った各駅で駅舎の話ばかりしてしまったので、小諸では駅周辺をじっくり散策したいと思います。

まずは駅前から。

駅前のロータリーに、「こもろワクワクマップ」なるものを発見しました。一見するとよくある観光マップですが、よーく見てみると…

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懐古園の音声ガイドが4種類も!

「正統派ガイド編」「オモロいガイド編」あたりはまだ分かるとして…「男の子とデート編」「女の子とデート編」ってなんだ…?

これらの音声ガイドは、音声メディアVoicyのチャンネル「ながら観光情報局 長野県小諸市」にて、どこからでも聞くことができるみたいです。自分も試しに聞いてみましたが、デート編、完全にアニメです。笑

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懐古園の園内 ※4月上旬撮影

小諸の有名観光地である懐古園ですが、個人的な注目点はその地形です。現在の懐古園である小諸城は、分類としては平山城に相当します。

小諸駅から直結している北側の入口は小諸駅との標高差がないため、一見すると平地のように見えるのですが…

園内を南側へと進むと、千曲川がはるか下に流れています。

これは河岸段丘といって、千曲川の流れによって土地が浸食されてできた地形です。しなの鉄道線沿いの千曲川一帯は、こうした地形を様々な場所で感じることができます。この急な崖の存在も、かつてこの場所に城が築かれた理由の一つであるといえます。

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懐古園南側から、千曲川を望む

今度は小諸駅の北側、小諸市役所の方へ歩いていきます。

小諸市では中心市街地に都市機能を集約させる小諸市立地適正化計画というものを進めており、小諸駅から徒歩圏内の場所に市役所などの公共施設や、大型スーパーなどが立ち並んでいます。

小諸市役所のお隣、相生坂公園にはたくさんの傘が吊るされています。これはいったい何なのでしょうか?

この相生坂公園では、「アンブレラスカイ」と題した、色鮮やかな傘を吊るして美しい空間を作り出すイベントが行われていることがあります。取材日(4月上旬)は新年度ということもあり、交通安全を願って通学用の黄色い傘が公園を彩っていました。

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小諸市役所脇の相生坂公園

小諸駅に戻ってきました。次の目的地に向かう前に腹ごしらえ。

以前のしなの鉄道北しなの線の回でも取り上げましたが、しなの鉄道では駅構内にそば屋さんが入っているところがいくつかあります。

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立ち食いそばの清野商店

小諸駅構内にある「清野商店」さんは2021年10月のオープン。ホームに面した立ち食いコーナーからは、小諸駅を発着する列車を眺めることができます。駅の立ち食いそば、旅情があって良いですね…。

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全国の田中さん集まれ!田中駅

小諸駅を後にして、次は東御市にある田中駅へ。

「田中」は日本人の苗字として非常にメジャーですが、現役の「田中駅」は日本国内ではこの田中駅が唯一の存在となっています。

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そうしたこともあり、田中駅のホームには「全国の『田中さん』さん大歓迎」の横断幕が掲げられています。田中という苗字をお持ちの方はぜひ足を運んで、記念撮影をしてみてください。

そして先ほどから「日本唯一の」田中駅と申し上げていますが、では海外に田中駅があるのかというと、あります。台湾にも田中(読みはTianzhong)駅があります。紛らわしいので以下ではTianzhong駅とします。

両駅は友好協定を結んでおり、田中駅構内にもTianzhong駅を紹介するコーナーが設けられています。国を越えた同駅名というのはなかなか珍しいですね。ゆくゆくは台湾のTianzhong駅にも足を運んでみたいものです。

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また田中駅は、北国街道の宿場町「海野宿」の最寄り駅でもあります。徒歩では15分ほどの距離。自転車でも通れる道を案内する看板が小刻みに設置されており、分かりやすくなっています。

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自転車ルートの案内看板

歩道が整備されている区間もあり、快適に徒歩移動できます。

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海野宿につながる遊歩道
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海野宿の街並み

海野宿にやってきました。江戸時代の宿場町、そして明治の養蚕の歴史を語る街並みが保存され、見応えのある通りとなっています。飲食店などの店舗に加えて、海野宿の歴史を伝える海野宿歴史民俗資料館があり、当時の建物が保存・復元されています。

入館料は大人200円とお手頃ですが、充実した内容でじっくり見学することができます。

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海野宿歴史民俗資料館

一度聞いたら忘れられない、テクノさかき駅

さらに東へ向かいます。

次に降り立ったのは、テクノさかき駅。カタカナの入った駅名は珍しく、非常にインパクトがあります。

注目したいのはこの駅の英語表記。「テクノ」という言葉の響きから、英語表記はTechnoかと思いきや、まさかのTEKUNO。これにはとても驚きました。どうしてこうなった??駅名決めた時点でツッコミは入らなかったんですかね。

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駅舎にもTEKUNOと書いてあります。紛れもなくTEKUNOです。

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一体この駅の何がテクノなのか。

実はこの駅の一帯は、テクノさかき工業団地という場所であり、20社以上の工場が立地しています。これらの工場への通勤最寄り駅としての役割を果たしているわけです。特異な駅名ですが理由は結構シンプルでした。

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テクノさかき工業団地に立地する企業一覧

駅の立地の特性上、観光の方にはあまり縁のない駅ではありますが、その存在を覚えておくとちょっと面白い駅です。

温泉と天狗の最寄り駅。ヤギもいる!戸倉駅

朝の軽井沢を出発したこの旅も、あちこちで途中下車をしているうちにすっかり日が傾いてきました。

しなの鉄道線の運行上の拠点、戸倉駅にやってきました。車両基地もあり、当駅始発・終着の列車も設定される駅ですが、この駅の見どころは、温泉と天狗です。

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戸倉駅は、戸倉上山田温泉の最寄り駅です。温泉街までは1kmほどあり、歩くには少し距離がありますが、大きな看板が迎えてくれます。

さすがは長野県内屈指の温泉街。駅前の看板からオーラを感じます。

旅の締めは温泉に‥といきたいところですが、今回はもう一つの見どころ、大きな天狗のいる「戸倉宿キティパーク」へ足を運んでみました。

戸倉宿キティパークへは戸倉駅から徒歩約15分。とはいっても結構な急勾配を上がるので、徒歩で向かうと距離以上に疲れます。

天狗像は公園の中でも一番高いところにあり、公園全体を見下ろすように立っています。周囲には桜の木が並び、桜の時期にはお花見スポットとして賑わいます。

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高さ9.5m。日本最大の天狗「千曲天狗」

ちなみにキティパークのキティとは小動物の意味で、園内には動物と触れあえるスペースもあります。ウサギなどの小動物に加えて、園内にはなんとヤギも。入場無料ながら充実した公園となっており、家族連れにもオススメです。

それにしても、特につながれたりしていないヤギ、実物を見るとなかなか迫力がありますね。

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ヤギと目が合いました。

さいごに

本シリーズも今回で5本目となりましたが、路線が長いこともありかなりボリュームのある回となりました。以前の上田電鉄別所線の回でも紹介した上田周辺については今回省略していますので、実際にはさらに多くの見どころがあります。

取材では1日で回りましたが、実際に観光される際には全部ではなく、いくつかをピックアップして回ることをおすすめします。

それぞれの街が一日時間をつぶせるほどの魅力がありますので、ぜひ自分なりの回り方で東信地域を開拓してみてください!




この記事を書いた人

むーさん

茨城県出身。都内の旅行会社勤務を経て、2020年夏から長野県民。善光寺近くのゲストハウスで働いています。ニッチな街歩きを極めていたら、なぜかNHKからオファーがきました(NHK長野『ブラナガノ』む〜隊長)