常念連峰の南部に位置する標高2,677mの山、蝶ヶ岳(ちょうがたけ)。
春先になると山頂南側の稜線に蝶の形をした雪渓が現れることから蝶ヶ岳という名前だそうです。今回は雪が降る前の10月、1泊2日の蝶ヶ岳テント泊登山に行ってきました。蝶ヶ岳の登り方やイメージが伝われば嬉しいです!
駐車場を制するものが蝶ヶ岳を制す

10月上旬、平日の午前6時。登山口となる三股登山口にある三股第一駐車場(80台駐車可能)はほぼ満車。第二駐車場(100台駐車可能)である森の広場駐車場はガラガラでした。蝶ヶ岳は人気が高く、8〜9月のハイシーズンや週末は駐車場に車中泊するハイカーで溢れ、当日では車が止めれないこともしばしば。この駐車場戦争を制することが蝶ヶ岳への第一歩なので、早めの出発を心がけましょう。
【三股第一駐車場Google MAP】


三股第一駐車場には24時間利用できるトイレがあります。車中泊ハイカーには嬉しいポイント。ちなみに清潔さは登山口トイレの中では確実に上位。お掃除してくれる人、ありがとうございます。そしてここは山の中。駐車場ではたびたび熊さんの目撃情報があるとか。車の外に食料など置くのはやめておきましょう。
今回のルートは「三股ルート」。最も一般的なルートで道も整備されており、初心者にも安心なコースです。ただ残雪期には雪崩や滑落の危険もあるので注意して登ってください。


三股第一駐車場の奥のゲートくぐり、三股登山口に向かいます。車内に忘れ物をしないようにしましょう。筆者はストックを忘れ10分ロス。あるあるですね。
ゲートから10分ほど歩いて三股登山口に到着。ここで最後のトイレと登山届を提出します。登山届は紙でもネットでも構いませんが、必ず提出するようにしておきましょう。
山頂までの道は遠いようで近く、やっぱり遠い

いよいよ登山開始です。蝶ヶ岳まで6.2km。一見近いように見えますが、コースタイムでは片道5時間の長丁場。気合を入れていきましょう。


開始早々橋がありました。整備されているのですが、如何せん揺れます。あまり大人数では渡らないようにしましょう。怖いったら怖い。
橋を渡って30分ほどで「力水」と呼ばれる給水ポイントがあります。キンキンに冷えたアルプスの水。浄水されているかはわからないので、飲むときは自己責任でお願いします。(筆者は飲みました。うまい!)



力水から10分ほど歩くと有名な「ゴジラの木」通称「ゴジさん」を発見。自然の織りなすの木の形と、詰め込まれた石の牙がそれっぽく見せてくれる。
登山口から約40分。最初の酸素の回っていないキツい時間帯ですが、標識には「蝶ヶ岳まで5.4km」の文字が。まだまだ序盤なんですよ、これが。



中間地点にほど近い「まめうち平」に到着。ここは休憩スポットとして有名で、多めの休憩を取りました。ここから先は急登とのことだったので、アミノ酸を補給。ジェル状なので吸収が早く、登りの時にその効力を発揮します。疲れる前に早めの補給、これ大事です。

まめうち平を過ぎると標高2000mの看板を発見。蝶ヶ岳の標高が2,677mということを考えると、これから677m登るという事実。なかなかにハードです。

途中常念岳がよく見えました。蝶ヶ岳は常念岳へ続くルートもあるのですが、かなりのロングコースなので今回は見送り。いつかロングトレイルにも挑戦したいな。

まめうち平から先は階段を登る急登地獄。ぐいぐい標高を稼いで行くのですが、ただただ辛い。こんな時は頭を空っぽにして登れればよいのですが、筆者は煩悩が凄まじく、「阪神と日本経済は連動しているのはないか」という胡散臭い経済学者のような推測をずっと考えてました。なぜかはわかりません。
蝶ヶ岳山頂へ。槍、穂高連峰を望む絶景三昧。

樹林帯を抜け、頂上までもう少し。振り返ると安曇野の街を一望できました。改めて長野県は山に囲まれた場所なんだなと実感。山好きにはたまらない街です。



頂上に到着すると、最高の絶景が待っていました。正面には穂高連峰と槍ヶ岳。山頂の小屋「蝶ヶ岳ヒュッテ」方面には常念岳の稜線。快晴と相まって、どこを見ても胸が高鳴ります。自分の足で頑張って歩いた分、絶景を見れたときの嬉しさは一塩ですね。

ちなみに頂上から常念岳へ向かうルートには、片道40分ほどで行ける「蝶槍」というポイントがあります。そこまでの稜線歩きも楽しいですし、蝶槍から見る山々も絶景。時間と体力に余裕のある人はぜひ。
蝶ヶ岳ヒュッテテント場に宿泊。北アルプスでも人気のテント場は伊達じゃない

山頂を楽しんだら本日のお宿(テント)の設営に入りましょう。まずはお宿である「蝶ヶ岳ヒュッテ」にテント場宿泊の申し込み。受付は14時からなので注意。ただ先に設営するのはOKです。


小屋の中には蝶ヶ岳ヒュッテオリジナルグッズがずらり。近年山小屋グッズのクオリティがどこも高くなっていると感じるのは自分だけなのだろうか。筆者はてぬぐいを買うのが恒例になっていて、今回も2番の手ぬぐいを購入。日本っぽい色味がたまらん。登山の時の汗拭きや温泉でのタオルなど、手ぬぐいは重宝するので何枚持っていてもいいですね。


飲料水は1リットル200円。山の上では水も貴重なので、大事に飲みましょう。ヒュッテ外にトイレあり。外界に比べればお世辞にも綺麗とは言えませんが、ここは山頂。我慢しましょう。携帯ウォシュレットなど持ってくると便利ですよ。


蝶ヶ岳ヒュッテのランチはこちら。
- 中華丼
 - カルボナーラ
 - おでん定食
 - 豚スタミナ丼
 
各種1000円。登山で失った塩分やミネラル、エネルギーを補うにはもってこいなラインナップですね。筆者は豚スタミナ丼をチョイス。他の登山者の間でも人気が高かった一品です。外界で食べればなんてことはない豚丼ですが、山頂で食べれば美味しさは100倍。何杯でもいける美味しさでした。

蝶ヶ岳ヒュッテから徒歩1分の場所にテントを立てます。この時は一番乗りで、場所が選びたい放題でした。テント場は山頂に近く、風が強いため、丘側(写真でいう奥側)だと丘が風よけになり、ベストポジションです。

お昼を過ぎると続々と登山者が登ってきました。平日でしたが最終的にはテント場はほぼ満員に。蝶ヶ岳の人気、半端ありません。



夕暮れ時になると山の表情は一変します。泊まるからこそ楽しめる夕暮れ。これも山で泊まるという行為の醍醐味ですね。美しい…。
登山者の朝は早い。蝶ヶ岳の朝陽を拝む

午前4時30分起床。なぜこの時間に起きるかというと、山頂で朝陽を見るためです。5時過ぎには明るくなるため、この時間には周りのテントでもガサゴソと音が成り、みなさん体制を整えます。この時間もなんとなく好き。そして5時30分。朝陽が見えてきました。雲海の中に現れる朝陽。空気は冷たく、朝陽は眩しく、写真では伝えきれない荘厳な景色でした。


後ろを振り返ればモルゲンロートの槍ヶ岳が。早朝だからこそ見ることのできる貴重な景色。早起きは三文の得とはよく言ったものです。
下山するまでが登山。最後まで魅せてくれた蝶ヶ岳

朝陽を拝み、下山を開始したときに見えた雲海。ここまで見事な雲海は久しぶりだったのでテンションは最高潮に。外界とは全く違う景色を見せてくれる登山ってやはり最高ですね。
比較的簡単に登れ、絶景を楽しめる蝶ヶ岳。みなさんもぜひ楽しんでみてくださいね。
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