【別所温泉】北向観音が64年ぶりに御開帳!歴史と見どころを案内していただきました

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上田市別所温泉にある北向観音

開創1200年を迎える記念すべき2025年の今年、64年ぶりに「御開帳」が執り行われます。

期間は2025年10月11日(土)から11月9日(日)までの約1ヶ月間、普段は見ることのできない「前立本尊」と、今回初めて絶対秘仏の「御本尊」を拝める、まさに一生に一度の機会です。(「御本尊」は御簾越しの陰影となります。)

せっかく訪れるなら、御開帳と一緒に別所温泉のいろいろな魅力を満喫しないともったいない!

今回は、北向観音本坊、常楽寺の半田 智保さんと、常楽寺美術館の中沢 徳士さんにお話を伺いながら、別所温泉の深い魅力をご紹介していきます。

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(右)常楽寺 半田 智保さん (左)中沢 徳士さん

北向観音64年ぶりの御開帳!

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北向観音お堂内

北向観音の御開帳は、新しい住職が就任する時に行われるのが通例。

「2011年に予定していた新住職の晋山(寺院に新たに住職の任命を受けた僧侶が、住職として初めて寺に入る儀式)に伴う御開帳は東日本大震災が起きたことでしばらく自粛していましたが、開創1200年というこの節目をきっかけに執り行うことにしました」と、中沢さん。

前回の御開帳は1961(昭和36)年。当時は半田 孝淳さんの晋山式の際に、観音堂の改修と合わせて開催されたそうです。それから64年という時間が流れ、2025年の今年、歴史的な御開帳がまた実現します。

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普段参拝時に見ることができる前々立本尊

御開帳では、普段は大切に収められている「前立本尊」を参拝することができます。そして今回は御簾越しで陰影になりますが、絶対秘仏の「御本尊」も拝めることが決定しました!

撮影は完全に禁止です。参拝料を納めてお清めを受けていただいた方のみ、本堂内陣に入って「前立本尊」や御簾越しの「御本尊」の参拝ができる特別な体験。

本堂の中の内陣は幕で覆われて結界を作り、外陣からは中を見ることができなくなるため、ぜひ、本堂内陣に入って参拝することをおすすめします!

また回向柱(えこうばしら)も、御開帳期間中に本堂前に立てられる予定です。前立本尊の御手と「善の綱」によって結ばれるため、前立本尊に触ることと同じご利益があるといわれます。こちらは本堂の外からでも触れることができます。

回向柱にも触れて、ご利益をいただきましょう!

北向観音の歴史と由来を深く知る

インパクト大!北向観音1200年の歴史の始まりは…

上田市別所温泉北向観音

厄除観音として知られる「北向観音」は、今からなんと1200年前の平安時代初期、825(天長2)年に比叡山延暦寺座主慈覚大師円仁により開創されました。

そのはじまりには、とてもインパクトのあるストーリーが。

ある時、常楽寺境内の裏山に火柱が立ち、その火坑から紫の煙が立ち上りました。その煙と火柱とともに千手観音菩薩が飛翔し、辿り着いた場所が北向観音がある場所にあった桂の木だったそうです。

すると、その桂の木の枝に姿を現した黄金の千手観音様が『我をこの地の奥に北向きに安置せよ』と仰られ、その言葉を受けて北向きに千手観音様をお祀りしたと言われています。

『北向山厄除千手観世音火坑出現之図』(常楽寺美術館蔵)

なぜ「北向き」なのか?その深い意味

「北向観音」はその名の通り北を向いて建てられたことに由来しています。お堂は通常南向きに建てられていることが多いため、北向きに建てられるのは珍しいようです。

北極星に向かって建てられることで、不動の星である北極星のように、永遠に人々を見守り続けるという観音様の誓願が込められています。

「善光寺だけでは片参り」

北向観音は位置的に長野市の善光寺と向かい合っており、善光寺では「来世往生」、北向観音では「現世利益」を祈願する「両参り」をすると、よりご利益があると江戸時代頃より言われているそうです。

善光寺が南向きで未来の極楽浄土への往生を願うのに対し、北向観音は北向きで現世での幸福を願う。昔からこの信仰が人々の心の支えとなってきました。

北向観音のパワースポット巡り

御開帳だけでなく、境内には見逃せないスポットがたくさん!

愛染カツラ(縁結びの霊木)

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樹齢はなんと1200年!ではなく、推定300〜600年と言われています。天長の昔、常楽寺の火坑出現の際、千手観音菩薩が現れた場所と伝えられていますが、「縁結びの霊木」として親しまれ、多くのカップルが愛を誓いに訪れます。

この桂の木は代替わりをしながら1200年の間、北向観音を見守り続け、観音様が出現した奇跡の瞬間の生き証人でもあるのです!

温泉の手水舎の贅沢

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手水には珍しく温泉が使われています!参拝前に手を清めながら、別所温泉の恵みも感じられる贅沢な体験です。

冬場でも湯気が立ち上る手水は、参拝者の心を温めてくれる存在でもあります。

善光寺地震と身代わり札の奇跡

歴史を感じる樹皮と豊かな葉からも力を感じます

江戸時代後期、1847(弘化4)年5月8日に起こった善光寺大地震

この年は善光寺の御開帳とも重なったことから、善光寺門前に宿泊していた参拝客も多数犠牲となるなど、壊滅的な被害であったと記録されています。

そんな中、北向観音のお札を持っていた人々の中に、不思議な体験をした人がいました。地震の激しい揺れの中で、「木製の北向観音のお札がパカッと割れて、その人は無傷で済んだ」というのです。身代わり札が文字通り身代わりとなって、持ち主を災害から守ったという奇跡的な出来事です。

御堂の中に、そのストーリーを描いた絵が飾られているので、ぜひチェックしてみてください!

御開帳記念の身代わり札に注目!

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「厄除身代観音」

今回の御開帳では善光寺地震の身代わり札にちなんで、「厄除身代観音」という特別なお札も登場。御開帳記念ということで、期間中数量限定で授与される特別な品です!

ほか、御開帳特別御祈祷も受けることができます。(要事前予約) 詳しくは、北向観音の公式サイト、または御開帳の案内チラシよりご確認ください。

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北向観音御開帳について

  • 所在地:長野県上田市別所温泉1656
  • 御開帳期間:2025年10月11日(土)~11月9日(日)
  • 時間:9:00~16:00
  • 参拝料:1,000円、小学生500円、未就学児無料
  • 公式サイト:https://www.kitamuki-kannon.com/
  • お問い合わせ:本坊 常楽寺まで

常楽寺の石造多宝塔と美術館でさらに歴史を感じる

日本で2基だけの重文石造多宝塔

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御開帳の参拝が終わったら、北向観音から徒歩7分の常楽寺にも足を運んでみてください。

ここでのおすすめは国の重要文化財に指定された「石造多宝塔(せきぞうたほうとう)」。石でできた多宝塔で重要文化財指定となっているのは全国で2箇所しかないとのことで、そのうちの1つがここ常楽寺にあります。

北向観音が出現した際にできた火坑跡に建てられたと言われており、高さ2.85mの安山岩でできています。

観音出現直後に建てられた木造多宝塔が火災により焼失し、鎌倉時代に現在の石造に建て替えられたという経緯があります。

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ころころとしてかわいい苔むす石造のかけら。石造多宝塔の後ろの山から発掘された昔のお墓だそう。
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この石造多宝塔がある場所は常楽寺の裏手の森の中にあり、とても静か。ここに佇んでいるとタイムトリップしたような歴史を感じる空間です。

仏教の聖地として栄えた別所温泉

実は別所温泉は、平安時代には天台宗の拠点として栄えた場所でした。その理由を中沢さんに詳しく教えていただきました。

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「常楽寺は学問寺とよくいわれます。天台宗の開祖である最澄さんは勉強家だったので、経典がたくさんあります。都で写経したものをここに置き、若いお坊さんが来て勉強していく—。このように常楽寺、安楽寺、北向観音(長楽寺)、これらがひとつの宗教空間を形成し、常楽寺で勉強をして、安楽寺に行って禅を組んで、北向観音・長楽寺では密教の修法が行われる…というまさに仏教の総合大学のような場所だったのです」。

多くの僧侶が学ぶために訪れる、信州において天台宗の重要な拠点として機能していました。

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さまざまな信仰がここで融合したことがわかる石像群。

「昔、お寺は病院のような役割も担っていました。ここは温泉が出ているので、湯治によって人々の病を癒すことにも尽力してきたのです。こうして別所温泉のお寺の文化ができていったのだと思います」。

常楽寺

  • 所在地:長野県上田市別所温泉2347
  • 電話番号:0268-37-1234

各時代の秘宝に会いに行く「常楽寺美術館」

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常楽寺に併設される常楽寺美術館には、おもに平安時代から江戸時代にかけての貴重な文化財が収蔵されています。

令和7年8月1日(金)〜12月25日(木)は、特別企画展「常楽寺の名宝」が開催されます。

常楽寺美術館の企画も行っている中沢さんにイチオシの展示品を伺いました。

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葛飾北斎が描いたと伝わる「紅葉狩」

「葛飾北斎が描いたと伝わる『紅葉狩』は、この企画展のポスターにもなってるんだけど、結構迫力あってね」。

江戸時代の浮世絵師として世界的に知られる葛飾北斎。彼の作品と伝わる貴重な絵を間近で鑑賞することができます。

足利尊氏発願。尊氏の願文が木版刷りされる大般若経

「足利尊氏が発願して作られた大般若経です。尊氏の願文がその中に収められています」。

室町幕府初代将軍である足利尊氏が、仏教への篤い信仰心から発願した大般若経。歴史の教科書に出てくる足利尊氏の願文を見られるなんて、歴史ファンにはたまりません!

「もともと千葉の大山寺ってお寺にあったものが、常楽寺に落ち着いたという経緯があります」。時代とともに全国を点々として、今、この信州の地でわたしたちが見ることができる…。そんな流転の歴史も興味深いですね。

御開帳中の見どころ

御開帳期間中、平成17年に長野県宝に指定され、その後京都国立博物館に寄託されていた「網敷天神画像」が里帰り展示されます。菅原道真公(天神様)が都を追われて、太宰府に下る船中での悔恨の表情を描いた名作です。

ぜひ北向観音の御開帳と合わせて、常楽寺美術館でもさまざまな歴史のストーリーを感じてみてください。

常楽寺美術館

特別企画展「常楽寺の名宝」令和7年8月1日(金)〜12月25日(木)

  • 所在地:長野県上田市別所温泉2347
  • 営業時間:9:00~16:00
  • 休館日:12月26日〜2月中旬
    開閉館期間などはHPでご確認いただけます。
  • 入館料:大人500円、高校生300円、小中学生100円、団体30名以上1割引、障害者手帳をお持ちの方3割引

参拝後のお楽しみ!長谷川とうふ店の食べ歩きグルメ

北向観音での参拝を終えたら、ぜひ立ち寄ってほしいのが「長谷川とうふ店」です。

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創業78年、満州帰りの祖父が始めた老舗

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戦後、満州から上田に戻ってきた祖父がお店を始めて、なんと創業78年!

観光で訪れる人たちに少しでも別所温泉を楽しんでもらいたいという店主の思いから、食べ歩きメニューが作られました。

食べ歩きメニューが充実!

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厚揚げ|揚げたてを提供!お醤油との相性抜群
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豆腐ドーナツ:意外な組み合わせがクセになる新しい味覚
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ドーナツもお豆腐でできているのでヘルシー!参拝でたくさん歩いた後に食べたくなるメニューばかり。地元愛に溢れた味を、ぜひ堪能してください。

長谷川とうふ店

  • 所在地:長野県上田市大字別所温泉1719-1
  • 営業時間:8:00-18:00(定休日:月曜)
  • 電話番号:0268-38-2137

まとめ|北向観音が64年ぶりにご開帳!

【別所温泉】北向観音が64年ぶりにご開帳!歴史と見どころを案内していただきました

64年ぶりの北向観音御開帳は、まさに一生に一度の体験です。

別所温泉に泊まって、ゆっくり満喫するのもおすすめのプラン◎

別所温泉には老舗旅館から一人旅も歓迎な旅館まで、様々な宿泊施設があります。御開帳期間中は混雑が予想されるため、宿泊プランで訪れる場合には早めのご予約を!

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