「自殺を減らしたい」想いが生んだボードゲームのできるスパイスカレー屋「くらっちぇ」インタビュー

スパイスカリーくらっちぇは2021年3/28をもって飲食店営業が無期限休業となりました。
店舗は無期限休業となりますが、インタビューでお聞きしたような思いは変わらず、今後も形を変えながらエンターテインメントとしてのカレー屋は続いていくとのことです。
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2020年1月に長野市にオープンした「スパイスカリーくらっちぇ」

毎週替わるオリジナルスパイスカリーやカリー作り講座、ボードゲームや学生とのコラボ企画などオリジナリティあふれる取り組みを行うスパイスカリーくらっちぇは開店から数ヶ月ではやくも多くのファンが集まる場所となっています。

今回はスパイスカリーくらっちぇ店主の小平理貴さんにくらっちぇの魅力についてインタビューしました。

カレーをエンターテインメントとして楽しんでほしい

 ──今日はよろしくお願いします。先週、くらっちぇでシカヴィンダルーというカレーを食べたのですが、酸味がある独特の味でとても美味しかったです。

小平 玉ねぎ、トマト、ニンニク、しょうが、米酢、赤ワインビネガー、ココナッツファインを混ぜています。ポルトガル領であったインド西部のカレーで、主に豚肉を使いますが、私は豚肉の代わりに鹿肉を使ったレシピにしています。以前、ジビエを扱う仕事をしていたので、鹿肉をはじめとしたジビエ肉を皆さんに気軽に楽しんでいただければと思い提供しています。

  ──くらっちぇはここでしか食べられないいろいろな種類のカレーがあって面白いですよね。スパイスカレー講座を開いていたりイベントを開催したりと、いい意味で敷居が低いように感じます。

小平 専門店で修業したわけでもないので、カレーの味ばかりを求めているわけではないんです。試行錯誤を繰り返して開発したメニューを通して、もっとカレーについて知ってもらい、一種のエンターテインメントとして楽しんでほしいです。

  ──エンターテイメントとして!その精神性は店内に行き届いている気がします。例えば店オリジナルのアプリを開発したり、ボードゲームイベントを開催したり、カレー以外のサイドメニューが充実していたり。お酒もとても種類が充実していますよね。お酒も充実していますよね。

小平 以前にドイツビールのレストランでアルバイトしていたことがあり、ビールをはじめ、いろいろなお酒の美味しさを知りました。お店でお出ししているお酒メニューは私の好きなものばかりですので、皆さんにもぜひ味わっていただきたいです。

ボードゲームや音楽など多様な人が集えるキッカケがある

タイムボムのパッケージを見せる小平さん

 ──くらっちぇはボードゲーム好きが集まる場所になっていると聞きました。小平さんおすすめのボードゲームはなんですか?

小平 私のイチオシはタイムボム(時空警察とボマー団の2陣営で争う正体隠匿系ゲーム)です。

タイムボムで遊んでいる様子

小平 店内に置いてあるボードゲームは、すべて実際に店内でゲームをプレイすることも可能です。

 ──ボードゲームのほかに、小平さんは音楽もやるとか。

小平 トロンボーンを演奏します。一般の演奏会にも機会あれば出ていて、くらっちぇでも演奏する機会があれば積極的に演奏もできたらと考えています。

 ──くらっちぇは小平さんの多趣味さが良い形で広がり、複数のコミュニティが共生しているところが魅力ですね。

新しい出会いにつながるコミュニティとしてカレー屋を営む

小平 くらっちぇを始める前はジビエに携わる仕事をしていましたが、最初に就職したのは長野県警察でした。ドイツ語を学ぶため大学院を受験しましたが失敗し、一時期フリーター生活をしていました。しかしあるときお金が無くなり長野に戻らざるを得なくなりました。ただ民間は就職できず途方に暮れていたとき、父からの斡旋で、長野県警察官を拝命しました。

就職できたのは良かったものの、いざ勤めてみると「何かが違う」という感覚が芽生えてきました。

キッカケは自殺未遂の男性を保護した体験です。結果的には無事に保護できたものの、警察の仕事は保護するところまでであり、ふと「自殺しようとした男性は、今後どうなるんだろう?」「目の前にいるのに何もできなくてやるせない」と思ったんです。

また、自分が車の単独事故を起こしてしまったこともきっかけの一つです。車が横転して全損する大きな事故でしたが、幸い私自身もほぼ無傷で、ほかの車や人に実害はありませんでした。それをきっかけに「せっかく拾った命だし、もっと今までの人生になかった経験をしたい」と思って、いろいろなイベント事に参加してみたんです。

そこでは今までの人生ではありえなかった新たな出会いも生まれ「新しいコミュニティができて楽しいな」とおもいました。そして自分が心から楽しいと思えるコミュニティを自分で作り上げることが世の中から自殺をなくすための第一歩であることを確信し、私は警察を辞職しました。

 ──くらっちぇ誕生の裏側には自身の経験を基にした「新しいコミュニティをつくりたい」という思いがあったんですね。

小平 はい。警察を辞職した後は、長野市主催の起業塾に参加し、警察時代に思い描いた自殺を防げるようなコミュニティの実現のためにできることを思い描くようになりました。

その手段として飲食店を選んだのですが、調理経験もない自分がいきなり自分の店を開いて継続していくにはハードルが高く、家族からも猛反対を受けました。

そこで私が下した答えは別の飲食店で一旦経験を積むことでした。その間、警察時代から趣味としていたスパイスカレー作りを本格的にやるようになり、ある時、「これならお店としてやっていける」と確信したんです。そして2020年1月に長野市権堂にスパイスカリーくらっちぇをオープンしました。

くらっちぇの究極の目的は「自殺の無い世の中にすること」

小平 現在の店舗は、本来であれば立地的に県外や外国の観光客でにぎわうはずなのですが、新型コロナの影響で客足は遠のいています。

そんな中でも近くの学校に通う大学生や高校生が日常的に店の前を通り過ぎていくのを見て、私は学生にフォーカスしてコロナ禍でも揺らがないコンテンツを作れるのではないかと思いました。

長野市の学生がやりたいことを実現する場所を作って、それをきっかけに長野市がやりたいことを実現できる街であるというストーリーをつくれば、持続的に長野市が活気づくと思います。

 ──詳しく聞かせてください。

小平 くらっちぇの究極の目的は自殺のない世の中にすることです。知的好奇心が満たされ、自己肯定感が高まり、生きる希望を持てることが大切だと思います。そのためには自分の中にある好きなことを具現化し、あるいはマネタイズできるという成功体験が必要だと考えています。

家族や周囲の人たちに過度に忖度することなく、自分のやりたいことを貫ける環境を作り上げることによって、活きることにつらさを感じている人たちが、少しでも楽しく生きることにベクトルを向けてほしいと私は願っています。

「くらっちぇのことはカレーのある学校だと思ってください」

コラボをしている学生との一枚 この日は長野県立大学生の食堂企画を行っていた

──最後に、読者の皆さんにメッセージがあればお願いします。

小平 正直、私はカレー屋にこだわってないんです。カレーを作れるけど、カレー屋である必要ではない。カレー屋はあくまで手段の一つに過ぎないのです。

あと、くらっちぇのことはカレーのある学校とでも思っておいてください(笑)

 ──カレーのある学校…?

小平 これまでにいろいろしくじってきたけど今が一番楽しいと感じている店主がいる店で、今後もこれまでになかった事業やエンターテイメントが生まれてほしいなと感じています。

そのためには学生をはじめ、あらゆる人たちが自分がやりたい夢を叶えることを大事にした方がいいですね。私自身もカレー屋という姿にこだわらず、とにかく夢の実現に向けて協力していく、それによって私自身の見える世界も格段に広がります。

皆さんに伝えたいのは「本来自分のあるべき姿を見つけてほしい」ということです。私にとってのそれは、自分のあらゆる経験をシェアしてほかの人の人生に役立ててもらえる存在になるということでした。苦しいことや辛いことがあったらぜひ頼ってください。

最後に-くらっちぇとは「みんなで手を叩けばひとりぼっちはいない」という意味-

くらっちぇの過去と未来に繋がる軸「自殺のない世の中にしたい」という思いに触れた、スキマな話もたっぷりのインタビューでした。店名の「くらっちぇ」は、ドイツ語で「klatsche(手をたたく)」という意味で、「みんなで手をたたいていれば独りぼっちなんていないぞ」という歌詞の歌謡曲に由来します。

スパイスカリーくらっちぇは、美味しいカレーも食べられて、お酒やカフェ、ボードゲームが楽しめて、アイデアが生まれ自己実現につながるお店です。

美味しいカレーが食べたい人、何かやりたいことがある人、孤独を感じてる人は、ぜひスパイスカリーくらっちぇに足を運んでみてください。

スパイスカリーくらっちぇ (2021年3月28日をもって店舗営業は無期限休業となりました)

所在地:長野市鶴賀権堂町2309 中央通り権堂ビル1F

営業時間:11:00~14:00、18:00~22:00

定 休 日 :火曜、水曜

Facebook:スパイスカリー くらっちぇ

Instagram:curryklatsche

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Skima信州編集部

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