長野県小諸市の南西、標高約1,165メートルの高台に位置する富士見城跡(ふじみじょうあと)。
名前のとおり、晴れた日には富士山まで望める絶景の地として知られています。戦国時代には小諸城の支城として機能し、北国街道を見張る重要な拠点でもありました。
いまでは静かな山道を登った先に、往時の姿をしのばせる土塁や堀切が残っています。
飯綱山公園(小諸高原美術館)が主な城域となるので、観光ついでに訪れてみてくださいね。
富士見城の歴史

富士見城は、戦国時代の天文年間(1532〜1555)に大井氏が築いたと伝わります。
当時、小諸一帯を治めていた大井氏は、甲斐の武田信玄や上田の村上義清と対立しており、富士見城は防衛線の一端を担う山城(やまじろ)として重要な役割を果たしました。
その後、武田氏の信濃侵攻によって大井氏が滅亡すると、富士見城は武田方の支配下に入り、小諸城の支城として利用されました。
城名の「富士見」は、城のある丘から富士山を望むことができたことに由来します。
江戸時代にはすでに廃城となっていましたが、地形を活かした郭(くるわ)や堀切、土塁などの遺構が現在も良好に残っており、当時の戦略的な築城技術をうかがい知ることができます。
富士見城跡へのアクセス
富士見城跡は、小諸市街地から車で約15分の場所にあります。
登り口は「高峰高原道路(県道94号)」沿いにあり、駐車スペースもあります。登山道入口には案内板が整備されているので初めての方でも安心です。
公共交通を利用する場合は、しなの鉄道「小諸駅」からタクシーで約20分。駅周辺には観光案内所があり、パンフレットや登山地図も入手できます。
住所:長野県小諸市富士見台
アクセス:小諸駅から車で約20分
見学時間:自由(登山道のため日中がおすすめ)
駐車場:あり
富士見城跡に登ってみよう

登山口から城跡までは徒歩で約20〜30分。

山頂の主郭(本丸)跡は平坦で、案内板やベンチが設置されています。土塁や空堀の跡もはっきりと確認でき、当時の防御構造を感じることができます。


城跡の周辺には春は山桜、秋は紅葉が美しく、季節ごとに異なる表情を楽しめます。
戦国のロマンを感じながら、歴史散歩気分で登るのにぴったりのスポットです。

整備された山道を登っていくと、途中で小諸市街を一望できるビューポイントが現れます。晴天時には南アルプスや八ヶ岳、そして名前の由来となった富士山を遠望できることも。

まとめ|山城「富士見城跡」小諸の山頂に残る戦国の城跡を歩く

富士見城跡は、小諸市の歴史と自然が一度に味わえる絶景の山城跡です。
大井氏や武田氏の時代を想いながら登れば、ただの山歩きとは違う発見があるはず。
天気の良い日には、ぜひ富士山を探しながら山頂からのパノラマを楽しんでみてください。
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