お盆とはご先祖さまを家に迎え、また送り出す行事です。一般的に8月13日~16日の4日間をお盆期間としていますが、旧暦の7月に行う地域もありますね。言葉は仏教の「盂蘭盆(うらぼんえ)」に由来しているそうですが、日本ではそれより昔からご先祖さまを供養する風習があったとされています。
そんなお盆の風習には、地域独特のものも少なくありません。長野県ならではの「お盆の風習」をまとめてみました。長野県の中でも地域によって、おうちによって風習は異なりますので、よかったらみなさんの家の風習も教えて下さいね。
かんば焼き
「かんば」とは「樺」、つまり白樺を意味します。かんば焼きとは送り盆と迎え盆の際に、乾燥させた白樺の皮を焼く風習のこと。一般的にはおがら(麻ガラ)を使いますが、長野県ではかんばを焼くのが特徴です。北信だけでなく長野県全域で見られる風習のようですね。
迎え盆の時にはお墓で焼き、ご先祖さまの目印にします。送り盆の時には玄関で焼きます。盆提灯を目印にするお家もありますが、両方行う方も少なくありません。
かんばは「焼く」?「焚く」?
「かんば焼き」とは言いますが、「かんばを焚く」と表現されている方が多かったように感じました。お線香と同じような使い方ですね。
かんばを焼くときに歌をうたう?
主に北信の方々でかんば焼きの際に歌をうたうこともあるそうです。歌詞は微妙に異なりますが、みなさん「おじいさんおばあさん、家はここですよ〜」というような意味の歌でした。火を灯すだけでなく、歌もうたってあげるなんて親切ですね。
天ぷらを食べる
いちばんオーソドックスな長野県民あるあるは、お盆に天ぷらを食べることではないでしょうか。長野県外からきた方はびっくりした経験があるはず。お盆だけでなく、「お祝いごとには天ぷら」と決まっているご家庭もあるのだとか。
天ぷらまんじゅうを食べる?
天ぷらだけでなく「天ぷらまんじゅうを食べる」とおっしゃっている方もいました。地域性があるようで、いただいた意見を元に推測すると、松本市〜大町市あたりの方に多いようです。下のツイートのように佐久市の方も食べるそうなので、もう少し広域かもしれません。どうなんでしょう?
「お供えしたおまんじゅうを美味しく食べるために天ぷらにした」という説が有力です。お盆は天ぷらと決まっているため、おまんじゅうも一緒に天ぷらにしてしまおうと考えたわけなのでしょうか。ただし現在では「天ぷらまんじゅうはスーパーで買って食べる」方も少なくないようです。
おやきを食べる
こちらも北信で「おやきを食べる」風習のあるお家もありました。ご先祖さまがあちら側とこちら側結ぶ扉を、お供えしたおやきを投げて開けて来られると言われているのだそうです。おやきを投げて開けるということは、蒸し焼きではなく灰焼き系の皮の硬いおやきなのかな?などと考えていました。面白い風習です!
下のツイートによると、おやきを食べる日も決まっているそうです。
「新盆」の読み方はエリアによって違う
「新盆」の読み方は全国的にも地域によって異なります。長野県は関東圏とも関西圏とも近く、県内でもエリアによって読み方が違うようですね。
読み方は3つありました。
- にいぼん(関西)
- あらぼん(長野市、大町市、佐久市)
- しんぼん(喬木村)
「えご」を食べる
お盆に「えご」を食べるという意見も何件かいただきました。「えご」は、日本海沿岸の主に青森、新潟、能登半島で採取される『えご草(えごのり)』を原料とした海藻食品です。新潟県や長野県北部地方で古くから冠婚葬祭やお祭りなど「はれの日」に欠かせない伝統的な食品として親しまれてきました。
海産物なので新潟県から塩の道(千国街道)を通って大町、安曇野あたりでは食べられているようです。派生して長野市西山地域でも見られます。長野県内でも「知らない!」という方も少なくありませんでした。見た目はところてんのような感じだそうです。「いご」という方もいらっしゃるとか。
お墓から家までご先祖さまを「背負って」帰る
いちばん面白いな、と思った風習はこちら。お墓でかんばを焼いた後、背負う所作をしたまま家までご先祖さまをおぶって帰るのだそうです。調べてみたところ、茨城県の新聞記事で「盆綱を背負ってご先祖さまを乗せてお墓から家まで帰る」という風習を見つけました。全国的には珍しい風習なのだと思います。
「ご先祖さまを乗せる」といえば精霊馬が思い浮かびますが、背負って帰るなら乗り物はいりませんね。2つの風習は両立しないのでしょうか。
長野県のお盆を学びたい
みなさんから頂いた意見を元に、長野県におけるお盆の風習(あるある)をまとめてみました。意外と他所の家や地域でしている風習って知らなかったりしますよね。お盆のあるあるネタに使ってください。