高瀬渓谷を守る3つのダム巡り!高瀬ダム・七倉ダム・大町ダムへ

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長野県大町市にかつて「あばれ川」と呼ばれた高瀬川(たかせがわ)があります。川に沿って市街地へと続く高瀬渓谷には、高瀬ダム、七倉ダム、大町ダムと3つのダムが連なっているのをご存知でしょうか?ダムマニアにも人気の3つのダムをめぐるポイントや、高瀬川流域における水害の歴史などをまとめました。

長野県きっての景勝地としても知られる高瀬渓谷。特に秋はライトグリーンに輝くダム湖と紅葉が美しい時期ですよ。ぜひ高瀬川の歴史を学びながら、ダムめぐりを楽しんでくださいね。

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まずは市街地に近い「大町ダム」へ

大町ダムは、国土交通省の管理する多目的ダムです。「1. 洪水から守る」「2. 水不足を減らす」「3.電気をつくる 」「4. 川の流れを保つ」など、さまざまな役割をはたしています。大町ダム情報館には、そんな大町やダムの歴史、役割などが開設された展示があります。ダムめぐりの際は、ぜひお立ち寄りください。ちなみにダムカードもこちらに置いてありました。

ダムの真ん中に立つと、二股に別れたダム湖「龍神湖」がよく見渡せます。龍神湖の名前は、地元に伝わる「犀龍と小太郎伝説」にちなんで付けられました。

もう一段上がった場所には「龍神湖」の看板と展望スポットがあります。記念写真を撮るならここがおすすめ。

龍神湖の展望スポット

葛温泉エリアのロックフィルダム「七倉ダム」

大町市七倉ダム
下から見た七倉ダム

次はロックフィルダムの七倉ダムに向かいます。高さは125m、ダム体積738万平方mで日本有数の高さ。ダム下に駐車場があり、上まではダム脇の階段を地道に上るしかありません。もうひとつ上の高瀬ダムとは東京電力の管理する兄弟ダム。七倉ダムは、夜間に余った電力で揚水するための下地ダムになります。

日本有数の豪雪地帯・北アルプスに源流を持つ急流河川である高瀬川は、大正期から水力発電に適した場所として注目されていました。大正11(1922)年には高瀬川第一発電所が完成し、第五発電所まで次々と建設されています。東京電力が高瀬ダムと七倉ダム、新高瀬川発電所の建設に着手したのは昭和44(1969)年。完成は10年後の昭和54(1979)年です。

ダムの上まで来ると、激しい風と圧倒的な自然の中で水を蓄える七倉ダムの全容に圧倒することとなります。石の大きさや積み方を覚えておいて、高瀬ダムのそれと比較してみると良いかもしれません。

大町市七倉ダム
上から見た七倉ダム
大町市七倉ダム
七倉ダム

日本一のロックフィルダム「高瀬ダム」

大町市高瀬ダム

いよいよラストは高瀬ダム

高瀬ダムには自家用車が入ることができないため、手前の七倉山荘隣に駐車します。ここからは歩いていくか、もしくはタクシーを使いましょう。徒歩なら1時間半〜2時間程度、タクシーならば15分ほどで到着します。槍ヶ岳や烏帽子岳への登山口にもなっているため、登山客もよく通る道です。タクシーは片道2,360円ほど。

大町市高瀬ダム

高瀬ダムは黒部ダムに次いで日本で2番目に高いダムです。全高は176mあり、ロックフィルダムとしては日本一の高さ。

「なぜこれほど大きなロックフィルダムをつくる必要があったのか」

ロックフィルダムはコンクリートを運びづらい山奥に建てられることが多く、現場で採れた石が使われます。強度を保つためにコンクリートダムよりも幅を必要とし、なだらかな斜面になります。高瀬ダムは長野県の前田建設が担当し、積み石にもかなりこだわっているのだとか。よく見ると石は大きく、白い花崗岩だけが使われていました。高瀬ダムがダムマニアからも高い評価を得るのは、こうしたデザイン的なこだわりも感じられるからだと思います。

大町市高瀬ダム
大町市高瀬ダム

取材の日はスッキリと晴れており、トンネル上にある「槍見台」からは槍ヶ岳まで遠くに望むことができました。写真だと少しわかりづらいですが、左右の山の境界線あたりにうっすら尖った山が見えるのがお分かりいただけるでしょうか。東京電力さん曰く、上らないと見えない槍ヶ岳を展望して欲しいとわざわざトンネルの上に作ったのだそう。高瀬ダムのスキマな絶景スポットです。

高瀬ダムを通って、歩いてしか行けない秘境の温泉「湯俣温泉」に行ってきたレポートはこちら!

かつて「あばれ川」と呼ばれた高瀬川

高瀬渓谷の3ダムめぐりについてまとめたところで、ダムのできた経緯や水害の歴史についてもご紹介しておきましょう。高瀬川(たかせがわ)は槍ヶ岳や樅沢(もみさわ)岳周へんを源流とする信濃川水系です。

『信府統記』では高瀬川についてこのような記述があります。

大町組ヨリ出テ松川組ト当組ノ間ヲ南ヘ流レテ下押野村ノ辺ニテ犀川へ落ル、此川満水ニテ渡リナシ、川瀬早ク流レ急ナル故ニ川筋水損ノ地多シ、(中略)都テ此高瀬ハ砂川ニテ水早キ故、大石ヲ水上へ流スト云フコトハ、石下ノ砂ヲ堀穿ニ依テ大石其跡ヘコロビ落ル故、次第ニ水上へ登ルナリ瀬筋満水ゴトニ替リ渡リ瀬モ定リガタシ、東海道大井川ニモ楢増レル水早キ川ナリ

「44災」大町エリアを襲った洪水の歴史

大正時代から川に注ぐ水の力を活用した電源開発が盛んだった高瀬川。一方で水害も多く、昭和44(1969)年には1週間降り続いた雨の影響で下流に大きな被害をもたらしました。いわゆる“44災”の発生により、調査段階にあった大町ダムの建設は大きく加速することになります。

大町から行ける「黒部ダム」も見逃せない!

最後に同じく信濃大町から行ける日本一のダム・黒部ダムについても触れておきます。ダム自体は富山県にあり、富山県側からも行くことができます。

黒部ダムと立山黒部アルペンルートを観光してきたレポートはこちら!

高瀬渓谷を守る3つのダムめぐり まとめ

高瀬渓谷にある3つのダムをご紹介しました。

長野県きっての景勝地としても知られる高瀬渓谷。特に秋はライトグリーンに輝くダム湖と紅葉が美しい時期ですよ。ぜひ高瀬川の歴史を学びながら、ダムめぐりを楽しんでくださいね。

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この記事を書いた人

信州さーもん

スキマな観光ライター。長野県内外、国外を旅します。長野県観光WEBメディア「Skima信州(http://skima-shinshu.com )」代表。道祖神宿場街道滝ダムため池棚田神社仏閣好きな平成生まれの魚。浅い知識を浅いままに増やしています。企画・アイディアを出すのが得意。たぶん。