千曲市(ちくまし)は、日本一のあんずの里として知られ、春になると10万本ともいわれるあんずの木が花を咲かせます。そんな千曲市には、春に訪れたいスポットがあんずの里以外にもたくさんあります。天狗と桜の名所「戸倉宿キティパーク」、蔵の街並みが残る稲荷山宿など、暖かな季節に歩いて楽しみたいスポットばかり。
春の千曲市といえば、あんずですが、今回は春の千曲市であえて「あんず以外」の楽しみ方をご紹介!特にひとり旅におすすめの観光スポットを多めにご紹介します。
今回はSkima信州で「マジヤバ!みこもちゃんのスキマな民話めぐり」も連載している高坂梓さんに歩いていただきました!歴史も大好きな彼女もおすすめするスキマな千曲市の魅力をご覧ください。
Photo:Takashi Gomi(@gomi_takashi )
Model:Kousaka Azusa (@KousakaAzusa)
Writer:Masato Ito(@ito_masato )
Editer:Skima信州編集部(@skima_shinshu )
Sponcerd by 信州千曲観光局
千曲市を一望できる桜満開の公園|戸倉宿キティパーク
はじめに訪れたのは千曲市を一望できる公園 戸倉宿キティパーク。
地元では「天狗公園」とも呼ばれ、日本最大 高さ8mの天狗像が立っています。これはその昔、ある山伏が戸倉自在山に住み、厳しい修行を積み重ねながら村人の幸福を願っていたことに感謝し、のちに村人が天狗を祀ったという戸倉天狗山伝説に由来します。
山の斜面を利用した見晴らしの良い公園には、およそ650本の桜が咲いています。場所によって標高が異なるため長期間にわたり桜を楽しめるのが特徴!公園内にはウサギやヤギなどの小動物が飼育されているので、1人旅だけでなく家族旅やデートで訪れるのもおすすめです。
キティパークには、千曲市の玄関口 戸倉駅から車で5分、徒歩20分で行くことができます。途中の道は細いので、大きな車で行く場合は注意!歩く場合には山道を登ることになりますが、いい運動になるのでぜひ春の景色を楽しみながら訪れてみてください。
千曲市の桜スポットは他にもあります。他の桜スポットについても知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
江戸前期から続く日本一のあんずの花を見に行こう!|あんずの里
春の千曲市で見逃せないのがあんずの花です!千曲市は日本一のあんずの里と呼ばれており、桜より一足早く花が開花します。
この地にあんずが伝わったのは江戸時代前期の元禄時代。伊予宇和島藩主・伊達宗利公の息女・豊姫が第三代松代藩主・真田幸道公に輿入れした際、故郷をしのんで持ち込んだあんずの苗が原型だといわれています。
現在では長野県はあんずの栽培面積日本一を誇りますが、その6割は千曲市で栽培されているんですよ。
毎年3月末~4月上旬には「あんずまつり」が開催され、期間中は出店が並んだりあんずの枝を使った染物体験ができたります。ちなみに、あんずの里は歩いて散策するのがおすすめ。あんずの花に隠れていますが、見る人をほっこりさせる魅力があちらこちらにあります。
あんずの里を訪れたらあわせて行きたいのが、観龍寺です。人のたくさんいるあんずの里からさらに山を登ると、そこには茅葺き屋根と桜の絶景が!あんずの里を訪れて観龍寺を訪れないのは、正直もったいないです。
あんずの里とあんずまつりの楽しみ方をもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
千曲市のスイーツとお土産ならココ!|横島物産
あんずの里の麓にあるのが横島物産(あんずの里のあんずショップ)です。千曲市のスイーツやお土産の品ぞろえはピカイチで、お店に並ぶあんず製品のほとんどがここでつくられているんだとか。店内には種付きのあんずをまるごと漬け込んだ「杏シロップ漬」や、もぎたての完熟あんずからつくった「杏じゃむ」などの加工品がずらり。
「あんずは酸っぱいから苦手!」という方でも、横島物産の加工品なら美味しく食べられると地元の方が話していました。そんな横島物産を訪れたら食べたいのが…
「あんずソフト」です!横島物産(あんずの里のあんずショップ)では通年販売されており、あんずまつりの時期には上平展望台に期間限定で開く「花さか村売店」でも食べられます。さっぱりしたクセのない甘さが特徴的で、とても美味しかったです。
他にも横島物産では、あんずパフェやあんずワッフルなども食べることができます。春以外の季節でも、千曲市に来たら訪れたいスイーツ&お土産スポットです!
善光寺平が見渡せる長野県最大の前方後円墳|森将軍塚古墳
続いて訪れたのは、あんずの里から車で5分、歩いて30分弱の場所にある科野の里歴史公園 森将軍塚古墳です。平地から古墳までは歩いて登って約20分ほど。疲れた頃に視界に飛び込んでくるのが大きな前方後円墳です!
この古墳は今からおよそ1,600年ほど前に造られた全長約100mの前方後円墳を発掘調査に基づいて正確に復元したもの。古墳時代の「科野(しなの)のクニ」を治めていた王様のお墓だと考えられています。古墳にはびっしりと石が詰まれ、上には埴輪が並んでいます。
早速、古墳の上に行ってみましょう!
古墳の上は、善光寺平・北アルプス・新幹線が見える絶景スポット!戸倉宿キティパークや善光寺大本願別院とは別の角度から千曲市とその周辺を見下ろすことができます。
平地に下りると森将軍塚古墳に関する資料を展示した古墳館や、長野県立歴史館などがあります。またその周辺は科野のムラとして縄文時代~弥生時代の竪穴式住居が復元された公園になっています。科野のムラと森将軍塚古墳についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください!
→「森将軍塚古墳」ってどんなところ?歴史と行ってみたレポ
→温泉だけじゃない!戸倉上山田温泉で冬の大人女子旅しませんか?
歴史的な蔵の街並みを歩く|稲荷山宿
あんずの里や森将軍塚古墳がある森地域から、千曲川を超えて歴史的な町並みを残す稲荷山地区へ。江戸時代に北國西街道(善光寺街道)が整備されると、宿場町として繁栄しました。幕末には養蚕・製糸業が盛んになり、明治には県下1,2位を争う大商業地へと発展。
しかしその後は、鉄道の開通や交通網の変化に伴い衰退していきました。稲荷山は現代に入る前に衰退したため、繁栄期に築かれた蔵の街並みが今日までその姿をとどめています。
この街の魅力は車で通るだけではわかりません。稲荷山商店街駐車場に車を停めて、早速歩いて散策してみましょう。街全体に張り巡らされた水路、どこに通じているかわからない裏路地、個性豊かな格子窓など、単にノスタルジックの一言では表せない独特の雰囲気が漂っています。
一本裏道に入ると、稲荷山が蔵の街であることがよくわかります。1847年の善光寺地震により発生した火災の被害を受けた稲荷山は、外壁を土と漆喰で塗り固めた土蔵造りの建物が多く建てられました。現在でも白黒のなまこ壁や土蔵が至る所にみられます。
稲荷山の歴史を学びに蔵し舘へ
歩いて楽しい稲荷山をもっと深く知るためには、この街の歴史と文化を学ぶことが大切!ということで、訪れたのは稲荷山宿 蔵し館です。蔵し館は、生糸輸出の先駆者となった松林家を修復再生した博物館。幕末から明治期の町家の生活空間が再現されており、かつて栄えた稲荷山の民俗的資料が数多く展示されています。
お昼は日本酒とお蕎麦が楽しめる古民家へ|蕎麦料理処 萱・酒造コレクション
1人旅の醍醐味は美味しいものを食べて、人目を気にせず好きなだけお酒が堪能できること。ここ蕎麦料理処 萱(かや)では築230年の茅葺屋根の建物で、信州産のそば粉を使ったのど越し滑らかな細麺のお蕎麦と、隣接する蔵元坂井銘醸の日本酒利き酒セットなどを楽しめます。
坂井銘醸の日本酒利き酒セットは、大吟醸・原酒・にごり酒の3種の飲み比べ。特性の蕎麦味噌とお蕎麦と共に楽しむことでお腹も心も満たされること間違いなし!
ちなみにお部屋の背後に映っているのは、蔵元坂井銘醸に代々受け継がれてきた道具の数々。花瓶に生けられている花は、全国に先駆けて千曲市で切り花の栽培がはじめられたトルコギキョウ。昭和20年代から栽培に取り組む千曲市のトルコギキョウは、その品質の高さから市場で高い評価を受けています。
萱のお蕎麦は信州産のそば粉を100%使用しており、打ち・茹で・出汁の全てで坂井銘醸の酒の仕込み水(地下水)を使っているとのこと。今回頼んだセットでは通常のそばつゆの他に、辛み大根につけて食べる信州の伝統料理「辛み蕎麦(おしぼりそば)」と、こちらも信州名物「くるみそば」のつゆもついてきました。くるみはさらっとしたつゆの中にほんのりくるみの甘みと香りが、辛み蕎麦はその名の通りピリッとした味でした。!
食後は隣接する酒造コレクションを見学。酒造石高が増えるにしたがい建て増しされた6つの酒蔵の中には、実際に酒造りで使われた道具が展示されています。提灯で照らされた薄暗い蔵は、夏でも涼しいのでこれからの暑い時期の観光にもいいかもしれません。
赤い本堂が印象的な絶景スポットへ|善光寺大本願別院観音寺
朱色の本堂が印象的な善光寺大本願別院観音寺。上山田温泉から徒歩で20分、車で5分の高台にあるお寺です。2022年の善光寺御開帳の際には、極楽浄土を願う善光寺、先祖供養を行う大本願、現世利益を願う観音寺の3寺を巡る御朱印帳も販売予定です。
古くから善光寺参りの後に精進落としのために訪れられてきた観音寺。訪れたときには散り際でしたが、春は桜と赤のコントラストが美しいお寺です。
観音寺は戸倉宿キティ―パークと千曲川をはさんで反対に位置します。そのため、同じ絶景スポットでも見える千曲市の景色は全然違います。戸倉宿キティ―パークからみえるのが北アルプスなどの山だとしたら、観音寺からみえるのはその名の通り幾重にも曲がりがある千曲川。ベンチに腰掛けてボーっと眺めていたい景色です。
ちなみに、観音寺は早朝に来ると戸倉上山田温泉に雲がかかり雲海が見られることもあります。日の出の時間に来ればさらにきれいな景色が見られること間違いなしです!
旅の疲れをレトロな温泉で癒す|戸倉国民温泉
旅の最後はやっぱり温泉!今回訪れたのは、入口の「国民温泉」というひなびた看板が目を引く新戸倉温泉の戸倉国民温泉。入り口までの通路は白壁と木戸でなんともノスタルジックです。
番台さんにお金を払い、いざ中へ。タイル張りの浴槽にからあふれんばかりの無色透明なお湯の泉質は、アルカリ性の単純温泉。ふんわりと香る硫黄臭と身体につく泡が泉質の良さを物語っています。戸倉国民温泉についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→新戸倉温泉 戸倉国民温泉|歓楽街「戸倉上山田」にあるノスタルジック温泉銭湯
春の千曲市でひとり旅しませんか?
春の千曲市には、あんずの里以外にも春の1人旅で訪れたくなるスポットがたくさんあります。特に千曲市では花だけでなく、歴史も、文化も、食も、温泉も楽しめるのが特徴的。1日でまわるのがタイトな場合は、戸倉上山田温泉に泊まってゆったりと楽しむのもおすすめです。
桜とあんずは少し時期がズレるので、片方しか見られなくてもガッカリすることはありません。また次の年にも千曲市を訪れれば、1年前とは違う春の千曲市が楽しめること間違いなしです!
記事で紹介したスポット
営業時間:
電話:026-273-1311
営業時間:9:00~16:30
電話:026-272-2726
営業時間:11:00~15:00, 17:00~20:00
電話:026-276-7205
営業時間:酒造コレクション 9:00~17:00
電話:026-276-7205
電話:026-275-1757
営業時間:8:45~21:45
電話:026-275-0457