野沢温泉 共同浴場|13ヶ所の外湯めぐり!北信濃の古湯に癒されよう

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「信州で一番好きな温泉は?」

長野県出身の温泉マニアとして、この質問は何度も受けました。僕は毎回決まって「野沢温泉」と答えます。本当に本当に大好きな温泉なのです。

野沢温泉は雪国北信濃にこんこんと湧く、信州を代表する歴史ある古湯です。8世紀前半に僧の行基によって発見されたと伝わり、江戸時代には湯治場として発展しました。

湯量豊富な野沢温泉には、温泉街に13ヶ所の外湯(共同浴場)があります。いずれも無料で入ることが可能。地元民でも観光客でも気軽に名湯を楽しむことができます。

これらの外湯は、江戸時代から続く“湯仲間”という制度によって、地元の人たちの手で管理され守られてきました。入浴無料とはいえど、各外湯にある賽銭箱にお気持ちとしてお金を納めましょう。

スキーに街歩き・・・たくさんの魅力がある野沢ですが、僕がこの温泉のファンになった所以はやっぱり「外湯」なのです。外湯に入るため、これまで何度も足を運びました。

今回は野沢温泉の外湯、全13ヶ所を一挙にご紹介!特にオススメなところや、温泉街でのディープな楽しみ方もお伝えします。

僕が選んだ信州のオススメ温泉はこちら!

まずは外湯めぐりの基本情報を知ろう

そもそも「外湯」に入るのが初めての場合、どうすれば良いのかよく分からないですよね。簡単に注意点などをまとめてみたので、外湯めぐりの際はぜひ参考にして下さい。

野沢温泉は温度が高い!どこも熱めです

野沢温泉の源泉温度は非常に高温です。各外湯では、その源泉を一切加工することなく、100%源泉掛け流しでぜいたくに使用。アツアツのお湯をそのまま楽しめます。

そのため、浴槽の温度もかな~り熱めです。掛け湯をしつつ徐々に熱さに慣れていきましょう。いきなりザブンと浸かるのはやけどにつながります。

水を入れて冷ますことも可能ですが、その場合は他のお客さんに断ってから。お湯の鮮度が落ちてしまうので、水の出しっぱなしにも要注意です。

外湯ならではのマナーや注意点など

外湯は早朝5時(冬季は6時)から夜11時までの間、年中無休でどこも無料で入れます。基本はお湯に浸かって楽しむ場なので、洗い場は広くはありません。シャワーなどはなく、石けん類も置いていないため、体を洗うには不便かもしれません。

タオルは必ず持参しましょう。湯桶は置いてあるので借りることができます。野沢の外湯は浴室と脱衣所が合体していることが多いですが、貴重品ロッカーもあるため安心です。

番台さんはいない無人の入浴施設です。お風呂場で一緒になった人にはぜひ挨拶をしましょう。地元の方との交流も外湯の楽しみの一つですね。

専用の駐車場は無し。歩いて巡るのが基本

各外湯に専用駐車場はありません。温泉街に2つの有料駐車場と、離れている所に2つの無料駐車場があります。

歩いて巡るのが楽しい野沢の温泉街。車から降りて、のんびりと散策するのがオススメです。

野沢ファンが厳選したオススメ外湯5選

どの外湯もそれぞれに魅力がありますが、13ヶ所すべてを巡るのはやっぱり大変。個人的にぜひともオススメしたい外湯を5つ選んでみました。

大湯(おおゆ)

野沢温泉のシンボル的存在である「」。温泉街の中心にあって、小さいながらも一際目を引く立派な湯屋建築です。外湯で一つだけ入るならここ!そう考える人も多そうです。

「あつ湯」と「ぬる湯」の二つに区切られた浴槽。ぬる湯といっても、野沢のお湯は基本どこも熱めです。湯の花舞うアツアツの硫黄泉に、湯けむり立ち上る古き良き風情。さすが野沢を代表する名湯です。

真湯(しんゆ)

温泉街から少し離れたところにある「真湯」。一見目立たないようにも感じますが、温泉好きのリピーターが多い人気の外湯です。

お湯は真湯独自の源泉を使用。乳白色や笹色に濁っていることが多く、硫黄の香りも他より強烈にします。浴室に花が飾られていたりと、おしゃれで落ち着く雰囲気です。

滝の湯(たきのゆ)

麻釜から坂を上った突き当たりにある「滝の湯」。年季の入った木造の湯小屋が素晴らしいです。山の中にある隠れ湯のような雰囲気がお気に入り。

滝の湯はお湯が個性的。鮮やかなエメラルドグリーンに色付いたお湯が、タイル張りの浴槽にたっぷりと注がれています。このお湯に浸かるだけでゴージャス気分。

新田の湯(しんでんのゆ)

静かな住宅地の路地裏にひっそりと佇む「新田の湯」。飾らない素朴な外観です。ここはどこか“神殿”のような雰囲気の漂う、パワースポット感のある不思議な外湯です。

タイル張りの湯船に満ちる透明なアツアツのお湯。湯口がライオンの顔になっている珍しいもの。析出物にびっしりと覆われて、正体不明になっているのもまた良いものです。

※2018年12月、新田の湯は建て替えられて新しくなりました。

従来の場所から幹線道路沿いに移動し、建物も一回り大きくなった新田の湯。昔のような趣はもう感じられませんが、観光客でも気軽に立ち寄りやすい明るい雰囲気に。

広い湯船にアツアツのお湯が注がれます。木のぬくもりを感じる真新しい湯小屋。落ち着いてのんびりと楽しめます。

十王堂の湯(じゅうおうどうのゆ)

コンクリート造りで一風変わった雰囲気の「十王堂の湯」。一階が女性風呂、階段を上った二階が男性風呂になっています。生活感あふれる昭和レトロな建築がたまりません。

広めの湯船に白濁した濃厚な硫黄泉。基本激熱になっていることが多いですが、足を伸ばしてじっと浸かると本当に気持ち良いです。地元の人との語らいも外湯の楽しみです。

どこも素晴らしい!その他の外湯もご紹介

13湯すべてに良さがある。外湯によって泉質や雰囲気などはさまざまです。ぜひ入り比べてそれぞれの魅力を味わってみてください。

河原湯(かわはらゆ)

大湯から少し下がったところにある「河原湯」。名前の通り、周囲の用水路にはざぶざぶと水が流れており、清らかな野沢らしい風情を感じます。

お湯は大湯と似ており、エメラルドグリーンに色付いた美しい硫黄泉。源泉の投入量も多く、縁からどんどん掛け流され、お湯の鮮度が抜群です。

秋葉の湯(あきはのゆ)

温泉街から外れた静かな住宅地にある「秋葉の湯」。目立たない素朴な外観ですが、建物内には温泉を使った洗濯場があったりと、広々としたぜいたくな外湯。

お湯は基本的に無色透明。他の外湯に比べると広めの浴室なので、のんびりとお湯に浸かって楽しむことができます。

麻釜の湯(あさがまのゆ)

麻釜から旅館街の坂を下ったところにある「麻釜の湯」。人通りが多いにも関わらず意外と空いており、穴場的存在の外湯です。

黒い石造りの湯船に注がれるアツアツのお湯。麻釜から引湯しているのだそう。この小ぢんまりとした感じがまた一つの魅力です。

上寺湯(かみてらゆ)

急な坂の途中に建つ一際小さな外湯「上寺湯」。小ぢんまりとしていて何だかかわいらしい湯小屋です。

浴槽もとてもシンプルな造り。狭い分お湯はすぐに入れ替わるので、新鮮さが魅力的な外湯です。

熊の手洗湯(くまのてあらいゆ)

野沢温泉発祥の地ともいわれる「熊の手洗湯」。歴史はあっても建物は数年前に建て替えられたばかりで新しいです。

ここのお湯は野沢温泉では大変珍しく、源泉温度が40℃ほどしかありません。熱で苦戦することもないので、気楽にお湯に浸かって楽しめる貴重な場所です。

松葉の湯(まつばのゆ)

一際立派な建物が目を引く「松葉の湯」。階段を上った二階部分が浴室になっています。

お湯は濃厚に白濁していることが多いです。これぞ硫黄泉といった感じで、これを無料で入れることに感謝しかありません。

中尾の湯(なかおのゆ)

野沢の外湯で最も大きいとされる「中尾の湯」。重厚な木造湯屋はまるで神社仏閣のような趣で、遠くからでもかなりの存在感を出しています。

浴室内も広々とした造り。温度によって湯船が2つに区切られており、好みに合わせて湯浴みを楽しむことができます。

横落の湯(よこちのゆ)

信号のある交差点の脇に建つ「横落の湯」。上手い具合に建物にとけ込んでおり、うっかり通り過ぎてしまいそうになる外観です。

お湯は無色透明で入りやすいもの。男湯の湯船は四角形なのに対して、女湯の湯船は円形になっており、男女で全く形が異なるのも面白いです。

《温泉データ》

【野沢温泉 共同浴場(きょうどうよくじょう)】

泉質:単純硫黄泉、含石膏-食塩・硫黄泉、含芒硝-石膏・硫黄泉

泉温:40.2℃~86.9℃

加水:なし

加温:なし

還流:掛け流し

住所:野沢温泉村豊郷

料金:寸志

営業時間:5:00~23:00(4月~11月)、6:00~23:00(12月~3月)

定休日:無休

公式ページ:http://www.nozawakanko.jp/spa/sotoyu.php

外湯だけじゃない!温泉街にはこんな楽しみ方も

野沢の温泉街には、外湯と一緒に楽しめるスポットもいっぱい!湯めぐりしがてら、こんな楽しみ方をしてみてはいかが。

集印めぐり

温泉街には、外湯をはじめとする様々な名所・旧跡に、集印めぐり専用の集印台が置かれています。たくさん集めると野沢限定のタオルや手拭いのプレゼントも。集印帳を片手に、ぶらり温泉街を散策してみては。

麻釜

野沢温泉散策で絶対に欠かせないスポットが麻釜(おがま)。100℃近い高温の源泉が湧いており、村の人たちはここで野沢菜を洗ったり、野菜や卵を茹でたりして日常的に利用しています。

洗濯湯

野沢の外湯などでは、こうした温泉を使った洗い場(洗濯湯)をよく目にします。ここも麻釜と同様、地元の人たちが普段から利用する生活の場です。温泉と暮らしが密着したこのような風景からも、野沢温泉らしい趣を感じ取れます。

温泉たまご

温泉街には外湯などいくつかの場所で、源泉を使って温泉たまごを作れる場所があります。高温のお湯が湧く野沢温泉ならでは。本物の温泉たまごを自分で作って、ぜひ味わってみてください。

こんなホッとする風景も。野沢の温泉街は魅力だらけです!

行くたびにますます好きになる野沢温泉

いかがでしたでしょうか。

子どもの頃から何度も行っている野沢温泉。本当に行くたびにますます大好きになります。何より信州を代表する古湯に気軽に浸かれる13の外湯、これが一番の魅力でしょう。

地元の人たちが管理する外湯は、昔からずっと村の大切な財産です。感謝の気持ちを忘れずに、マナーを守って温泉を楽しみましょう。

写真協力:おーむら(@shinsyulove)、信州さーもん(@goshumemo)

野沢温泉の観光スポットはこちらをご覧ください!

教えたいけど知られたくない!信州のスキマ温泉めぐり

長野県の温泉地数は224ヶ所、245ヶ所の北海道に次いで日本第2位!ちなみに温泉利用の公衆浴場数は、654ヶ所と日本一を誇っています。

信州の温泉地といえば野沢温泉や渋温泉、別所温泉や白骨温泉などが有名ですね。

この特集ではスキマメンバーの力路郎さんが、少し変わった温泉地をさまざまな視点からご紹介します。

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この記事を書いた人

力路郎

北信濃出身・大阪在住の大学生です。趣味は温泉めぐり。暇さえあれば全国の極上湯を求めて一人旅しています。現在300湯に入湯。山奥の湯治宿や鄙びた共同浴場に憧れます。