こんにちは、温泉マニア大学生の力路郎(@OfAdriatic10)です。
新年初湯めぐりということで、冬の小諸を旅してきました。小諸(こもろ)は、現在の懐古園にあたる小諸城の城下町であり、北国街道の宿場町としても栄えた、古き良き風情が残る歴史ある街です。
そんな小諸にはたくさんの温泉があります。浅間山麓の絶景が楽しめる秘湯から、個性的な泉質が自慢の名湯まで。中棚(なかだな)温泉の中棚荘もその一つです。
中棚荘は懐古園のすぐ下にあり、千曲川を眼下に望む老舗旅館です。駅から近い場所にありながらも、秘湯ムードさえ漂う落ち着いた風情。
明治の文豪・島崎藤村が親しんだ温泉でもあり、藤村の『千曲川旅情のうた』に登場する「岸近き宿」とは、ここ中棚荘を指しているそうです。
今回は、中棚荘の日帰り入浴レポ。歴史のあるお宿ではありますが、日帰り入浴で気軽に楽しむことができます。
僕が選んだ信州のオススメ温泉はこちら!
島崎藤村が愛した小諸の老舗旅館「中棚荘」
千曲川を望む崖の中腹にひっそりと佇む中棚荘。素朴さと華やかさを同時にあわせ持つ、良き風情の老舗旅館です。正面玄関は懐古園方面に向かってあります。
館内は想像以上に広く、迷路のような造りにワクワクします。温泉は離れた別棟にあるため、渡り廊下を奥の方まで進みます。
長い階段を上っていきます。素晴らしい秘湯ムード!
奥まで行くと浴室の入り口が見えてきました。
男湯は手前、女湯はさらに奥にあります。いざ、中へ。
名物「初恋りんご風呂」が楽しめる内湯
なんと、浴室には脱衣所との仕切りがなく、一体化した造りになっています。しかも脱衣所の床は畳敷き。まるで昔の「大名風呂」のようです。すごく豪華!
10月から5月にかけての期間、湯船に地元のりんごが浮かぶ初恋りんご風呂を楽しめます。「まだあげ初めし前髪のりんごのもとに見えしとき・・・」で知られる、島崎藤村の『初恋』にちなんだりんご風呂。
ほのかに香る甘酸っぱい香り。まさに初恋ですね。これを目当てに訪れる人も多いそうで、りんご風呂は中棚荘の冬の風物詩となっています。
肝心のお湯はというと、これがまた素晴らしく、硫黄の香りがするアルカリ性単純温泉です。壺のような湯口からはぬる湯の源泉が湧き続け、湯船の縁からは大量に掛け流されています。
pH8.6とアルカリも強く、肌がツルツルになる優しいお湯です。泡付きもたくさんあり、浴槽内で循環を併用しているものの、お湯の新鮮さはほとんど失われていません!
南向きの大きな窓からは日差しが入り、明るく暖かい浴室になっています。あまりの気持ち良さにうとうとしてしまうほど。
天井を見上げるとびっくり。柱や梁には手斧で削った巨木を使っています。なんとも豪勢で芸術的な浴室です。
千曲川を見下ろす絶景の露天風呂
露天風呂は完全なる源泉掛け流し!加温すらされていない源泉そのままのぬる湯を、惜しみなくドバドバと掛け流しています。寒い冬はちょっと厳しいですが、肌触りの良いなめらかなお湯で、いつまでも浸かっていられそうな心地よさです。
崖の上にある露天風呂からは、眼下に千曲川の流れを望めます。城下町のすぐ近くにも関わらず、この恵まれた自然環境です。都会の喧騒を忘れさせてくれますね。
お湯も雰囲気も抜群の中棚荘の温泉。島崎藤村の世界観を楽しむことができます。
【中棚温泉 中棚荘(なかだなそう)】
泉質:アルカリ性単純温泉
泉温:38.2℃
加水:なし
加温:なし(露天風呂)、あり(内湯)
還流:掛け流し(一部循環併用)
所在地:小諸市古城中棚
料金:大人1000円/小学生500円/幼児300円
営業時間:11:30~14:00
定休日:不定休
公式ページ:https://nakadanasou.com/
ゆっくりとした時間が流れる館内
浴室へと続く階段の途中に飲泉所がありました。湯上がりはここでホッと休憩するのがオススメ。
「源泉から一番近い飲泉所」と書かれた蛇口も。ひねると新鮮なお湯が出てきます。浴槽のものより強い硫黄の味がしました。飲める温泉は良い温泉ですね。
千曲川の眺めが良い静寂な館内。一日中静かに読書とかしてみたい、そんな雰囲気の場所です。
ロビーの本棚には島崎藤村関連の書籍がどっさり!
玄関前には可愛らしいヤギさんもいます。のどかで良い雰囲気。
中棚荘のお隣にある食事処のはりこし亭もオススメ。国の登録有形文化財に指定されている北国街道沿いにあった旧家で、信州らしい滋味あふれるこだわりの料理が楽しめます。
「はりこし亭」についてはこちらをご覧ください!