登山は苦手だけど、霊諍山でユニークな石仏群が見たい。

こんにちは、Skima信州編集長の信州さーもん(@goshumemo)です。

わたしは登山が苦手です。信州に住んでいながら、登山にもキャンプにもあまり手を出しません。しかし登山が未経験かと言われるとそうでもないし、キャンプだって幼い頃からよくしていました。最初から苦手だったという訳ではありません。

アウトドアと旅が好きな両親は、わたしを連れてよく登山に行きました。長野県なら常念岳や燕岳には登った記憶があるし、3歳と5歳頃にはネパールでプチトレッキングをした経験もあるらしい(記憶にはない)。スイス・マッターホルンの麓で1ヶ月キャンプをしたこともあります。親を置いてよく歩き、元気が有り余っているようだったと言われました。

 

しかし約20年後の今、わたしは登山が苦手です。

 

アウトドア好きの両親に育てられた子どもがアウトドア好きになるとは限りません。飛んでいる虫にも悲鳴をあげる都会っ子に成長しました。

「信州に住んでいるのにもったいない!」とよく言われますが、わたしの体力レベルが登山に向かないのは、自分がいちばんよく分かっていること。残念ですが、今後の人生でわたしが登山に再挑戦する日はやってこないでしょう。たぶん。

 

しかし信州で変な趣味を持っていると、どうしても歩かなくてはいけない場所に出くわすことがあります。例えばこんな石仏を見るために、山を登ることだってあるんです。

所要時間、約30分。

こんなの登山じゃないって声が聞こえた気がします。けれど登山が苦手なわたしにとって、30分も山を登ればこれは立派な登山なんです。明日は絶対筋肉痛なんです。

 

今回はそんな信州さーもんの30分登山記。結論から言うと、ひとり死ぬ気で登り切りました。石仏群は一見の価値ありです!

 

霊諍山の石仏群は千曲市(旧更埴市)の大雲寺裏山にあります

ある日取材でお会いした千曲市の方におすすめされた「霊諍山(れいじょうざん)の石仏群」。ユニークな石仏を見てみたいと思い立ち、後日大雲寺までやってきました。この時はまさか、登山するなんて思いも寄らず。

 

大雲寺といえば桜と蓮が有名。城壁を思わせる石垣も特徴です。参拝したいところですが、合間を縫ってきたので今回は一直線に裏山へ進みます。

大雲寺の裏山一帯は「一重山」と呼ばれており、いちばん高い山を「矢崎山」、ついで高い場所に「霊諍山」の社殿があります。

 

大雲寺横から案内図に沿って探勝歩道へ

参道手前に見えた案内図を見ると、ここからは徒歩になるみたい。ネットで調べると、所要時間は片道15〜20分ほど。今までの経験上、15分くらいの登山ならばなんとかなることが分かっています。限界を超えた例に戸隠神社奥社・九頭龍社、不動寺奥の院(米子大瀑布)、荒砥城跡(千曲市)などありますが、どれも所要時間は往復2時間ほど。

 

階段も付いているみたいだし、まあ行ってみるか。軽い気持ちで進み始めます。

 

歩き始めて1分で分かれ道。一方には、慈母観世音参道入り口と書かれていました。あれ、わたしは何を観にきたんだ?

 

もう片方には看板がなかったので、言われるがままに参道を進みます。

 

さらに3分ほど歩くと、慈母観世音菩薩と思しき石仏を発見。目の前に大きな蜘蛛の巣が張っていたので手前から撮影しました。

 

さーもん
完全に道間違えたなこれ。

 

ただでさえ登山が苦手なわたし。この時点で若干ハアハア言いながら来た道を戻ります。

 

遠目に大雲寺が見えました、おそらく標高も同じくらい。まだまだ道のりは長そうです。

 

改めて山道を歩く。

高度を一気にあげるためか、やたらくねくねとした道をひたすら登ります。

 

このカーブが終わったら見えてくるかもしれない。次、次のカーブで!と一憂しながら階段を進むわたし。進んだ先がさらに階段続きだと心が折れて、つい立ち止まって「もう無理、辛い。」と鬱ツイートしそうになります。きっと誰も心配はしてくれないし、心配したとしてもこの状況を知ったら怒られるのでやめました。

 

徒歩15分ほどで展望園地に到着!

すでに15分ほど歩いてゼエゼエ息を吐いていた時、ようやく東屋らしきものが見えて来ました。案内図でみるところ、これは展望園地のようです。標高は500mほど。標高何mからスタートしたのか分からないので上がった実感はありません。

ちなみにこの写真では分かりませんが、目の前に大きな蜘蛛の巣が張っていて泣きながら棒で取り除きました。蜘蛛さん、ごめんなさい。

 

大雲寺まで0.3km、霊諍山まで0.3km。ここでやっと半分、そして300mしか進んでいないのか・・。平地ならダッシュで1分弱くらい?時間と距離の感覚がおかしくなる、これが登山マジックですか。

 

ちなみに、展望園地からの景色です。全く展望できない!とはいえ、今まで全く外部と閉ざされた山道を歩き続けて来たわたし(約15分)。スキマから見える千曲市街を覗いて「あ、よかった。ここ信州だ」と胸を撫で下ろします。

 

展望園地からは少し下り道

あれだけ頑張って登ったのに、なぜか下り道。もし次に登り道が現れたら、わたしはどちらにも進めなくなってしまうかもしれない。お願いだからあとは下るだけにしてくれ。祈るようにひたすら下り道を進みます。

 

また東屋を発見。四方に置かれたベンチ、4人で来たら向かい合って座りたいな〜なんて無駄な考えがよぎります。1人で歩いていると、五感が冴えていつもより思考力もアップしました。

下り道も転がりそうになる身体を留めるために筋力を使います。登り道で使い果たした体力に加え、筋力も奪いにかかる霊諍山。今確かなのは、いくら疲れてもう歩けないと思っても、進まない限りゴールはないということ。そして、進んでいれば必ずたどり着けるということです。

 

東屋の向かい側に、また分かれ道を見つけました。桑原宿や天満宮、開眼寺の方にも行けるみたいですね。桑原とは名前の通り桑畑が広がる地域でした。稲荷山宿ができる前は桑原宿も大きな宿場町、蚕糸業が盛んだったようです。

桑原宿についてもいずれ記事にする予定。この霊諍山にも関係の深い地域です!

 

霊諍山 講社が見えた!

頭の中が無駄に冴え渡り始めた頃、ようやく鳥居が見えて来ました!

 

鳥居には「大国主命」、主祭神は大国主さまです。霊諍山講社は神習教の社殿だそう。霊諍山は明治中期に千曲市八幡、郡(こおり)の北川氏が開山しました。

 

神習教とは?

神習教は旧津山藩士芳村正乗が、自分の神道説により神道系・修験系の講社を結集し、明治14年に組織した宗教で、教派神道十二派のひとつである。芳村は明治新政府の宗教機関にも仕え、諸国の神職や行者に神道を教えたと伝えられている。

『更埴市の石造文化財 石神・石仏と信仰』より引用

 

 

息を切らしながら、最後(だと思われる)坂道を登ります。

 

社殿を囲むように石仏群が!

最初にお出迎えしてくれたのは正座しているように見える、大日如来さまかな。

ここから石仏たちの写真が続きますが、社殿周りにクマンバチが大量発生していたため、駆け足での撮影になったことをお伝えしておきます。黒い服を着ていたため、怖さ倍増でした。おかげで写真に収めるのが精一杯、生でしっかり見られなかったことが悔やまれます。

 

社殿の裏に並ぶ石仏たち。石仏・文字碑・石祠など、約130基が並んでいます。

 

 

詳しい年代のあるものは少ないようですが、もっとも古いもので慶応2年(1866)に造られたと記されていました。年代を見ても、筑北村旧坂井村・修那羅の石神仏と深い関わりをもつことが分かります。

 

石神仏ギャラリー

クマンバチに襲われながら、必死に撮った石神仏をご覧ください。

 

左は奪衣婆にも見えますが、手元の資料『更埴市の石造文化財 石神・石仏と信仰』によると「生霊よけ」だそうです。生霊とは、人間の呪いや恨みのこと。

右は摩利支天の文字碑。

 

摩利支天を描いた石碑は2基ありました。仏教に取り入れられたインドの神さまです。陽炎が神格され、姿を消して災いを除き利益を与えるとされています。

 

 

不思議な石仏だらけ。明らかに上半身と下半身が合っていないぞ・・。

 

 

 

 

 

猫神さまの石仏が面白い!

裸マントにふんどしをしめた猫がウェーブしているなんともユニークな石仏。おそらく石仏群の中でいちばん有名です。蚕糸業の盛んなこの地域では、蚕を食べてしまう鼠を退治することから、猫を飼ったり大切にしたりしている方が少なくありません。

 

猫神信仰は、蚕糸業と切っても切れない関係。民話もたくさんあります。坂城町にはこんな伝説や地名も残っていますよ〜。

 

ところで随分昔に行った方の写真を見せてもらったところ、この猫神さまの石仏、以前と場所が入れ替わっているみたい。どなたかが入れ替えたのでしょうか?ちょっと不思議。

 

ユニークな石仏だらけの霊諍山!帰りは別ルートから

社殿のさらに奥、お地蔵さんの棲む小屋を発見しました。クマンバチが怖くて近づけませんでしたが、中には小人のようなお地蔵さん!

 

さあて、一通り楽しんだのでクマンバチに襲われないうちに帰ります。10匹くらいいたんです・・本当に怖かった。よく頑張った。

 

帰り道、ちょっとひらけたスキマから善光寺平が見えました。(展望園地よりよく望めます。)

 

どうやら参道はこちらだった様子。鳥居がありました。おつかれさま 又お越し下さいの文字に逆から来てしまった人への配慮も見られます。

 

鳥居の奥(麓からは手前)には参道の石碑。

 

道向かいには看板も見えましたが、ざっくりしすぎていてよく分かりません。看板通りの方向に進むと確実に崖から落ちるポイントもありますね。

 

矢崎山はこっちを指しているけど、果たしてたどり着けるのか。

 

大雲寺はこちらになっています。まさか、と目をこらしたらなんとなく道になっている。合っているようですね。

 

しばらく道無き道を進むと竹柵のある道らしい道にたどり着きました。帰りは緩やかな道が続いてとても楽でした。もしかして、行きも帰りもこの道を通っていればあれほど苦労もしなかったのでは・・?と思わずにはいられません。でもすでに帰り道、気にしたって仕方ない。お目当のものも見られたし、あとは帰るだけ!

 

最後に出て来た階段。ぱあっと奥がひらけて、別世界から戻って来た千尋(千と千尋の神隠し)のように、急に現実へと引き戻された感覚です。

 

この階段、行きなら登るのに躊躇しそうな場所にありました。

 

最初に入った登山口が対面に見えています。本当にぐるっと一周して来たようでした。

 

登山が苦手でも達成感を味わえる「30分登山」はおすすめ!

最初の頃はかなり後悔していましたが、ゴールのある道を歩くのも楽しいもの。何時間も登れるほどの体力はなくなってしまったけれど、30分登山ならなんとかトライできそうです。

登山が苦手なわたしでも達成感を味わえる「30分登山」おすすめですよ!

 

千曲市特集

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