湯俣温泉 晴嵐荘|北アルプスの歩いてしか行けない山小屋の秘湯へ

※当サイトのコンテンツにはプロモーション(広告)が含まれています

こんにちは、温泉マニア大学生の力路郎(@OfAdriatic10)です。

『歩いてしか行けない温泉』温泉好きならそそられる言葉のはず。大町市を流れる高瀬川の上流、北アルプスの奥地に湯俣温泉はあります。湯俣温泉。そこにはどんな景色が広がっているのか。山好きであり温泉好きでもある僕にとって、湯俣は子どもの頃からずっと憧れの存在でした。

僕が選んだ信州のオススメ温泉はこちら!

湯俣温泉へのルート

国土地理院地形図より作成

高瀬ダムから湯俣温泉をめざして歩く

訪れたのは8月上旬。まさに夏山シーズンの真っ只中でした。北アルプスの登山基地である七倉の駐車場は早朝から満員。みんな山登ってるのかあ。僕たちは麓でのんびりと温泉に浸かるので、ちょっぴり贅沢気分です。車で行けるのは七倉から4㎞ほど先の高瀬ダムまで。そこから湯俣温泉まで、自分の足で辿り着かなくてはなりません。

いざ、出発!!

高瀬ダムから湯俣温泉まで、およそ10㎞。なかなか長い行程です。はじめの長いトンネルで一気に疲れましたが、後はしばらくダム湖畔の舗装された道なので安全です。

途中、ダム湖畔から眺めた景色。奥に見える白い山は船窪岳かな。人気の北アルプスの中でも、この辺りの山は閑散としてて良いんですよね。

一時間ほど歩いたらダム湖の入り口まで来ました。水の色、キレイですよね!これは温泉成分が川に混じるため、このようなセルリアンブルー色になるそう。神秘的な風景に興奮を隠せない一行でした。

ダム湖が見えなくなると、舗装された道から登山道へ変わります。登山道とはいえど、急な登り坂などはなく、比較的容易に歩けます。鳥のさえずりが聞こえる森の道。憧れの温泉をめざして、黙々と歩き続けました・・・

山小屋の晴嵐荘で極上湯を楽しむ

歩き続けること約二時間半、ついに山小屋の晴嵐荘(せいらんそう)が!

ここが今回の目的地である湯俣温泉です。吊り橋を渡って山小屋がある対岸へ。山小屋の前の広い河原にテントを張ります。場所は自由。無料の水場もあったりと、かなり充実したテント場です。個人的には、北アルプスの充実したテント場トップ3に入ります。なにより温泉がある!

今夜はここで一夜を過ごします。わくわく。

晴嵐荘で受付を済ませて、さっそく念願のお風呂へ!扉を開けると・・・

年季の入ったタイルの浴槽に、青白く光る神秘的なお湯が満ちています。お風呂は男女別の小さな内湯がひとつだけ。シンプルだけど、このコンパクトさがまた良いのです。

泉質は単純硫黄泉。もちろん源泉掛け流し。濃厚な硫黄臭が香ります。湯量も豊富でザバザバと掛け流されていました。長旅の疲れも吹っ飛びます!

上質なお湯さえあればもう何もいらない。湯俣温泉は、そんなお湯だけを楽しめる空間を与えてくれます。

【湯俣温泉 晴嵐荘(せいらんそう)】
泉質:単純硫黄泉
泉温:48℃
加水:なし
加温:なし
還流:掛け流し
住所:大町市平高瀬入国有林2118
電話:090-5535-3667
料金:500円
営業時間:昼~夕方
定休日:冬期(10月中旬~6月末)
公式ページ:http://seiransou.com/

天然記念物の噴湯丘と野湯探訪

湯俣温泉は晴嵐荘だけじゃない!

晴嵐荘からさらに上流に歩くと、野湯(のゆ)があるのです。野湯とは文字通り、河原など自然の中に湧く温泉。人の手によって触れられず、ほったらかしにされている場合がほとんどです。

まさに天然の露天風呂。しかし辿り着くまで想像以上に険しい道で、山に慣れているつもりの一行もかなり苦戦することに・・・

第一の難所!

崩れかけの吊り橋を渡ります。一見簡単そうに見えるかもしれませんが、斜めに傾いた吊り橋ってかなり危険なのです。

第二の難所!

断崖絶壁の道なき道を歩きます。登山道など、はっきりとした道はありません。歩けそうな場所を探して歩きました。崖からの落石の危険性もあるので、ヘルメットを持っていくべきでした。

第三の難所!

流れの強い川を渡ります。山岳用語ではこれを渡渉(としょう)と言いますが、経験がある人でないとキツいです。流れが急な所や水深の深い所では、流されないよう特に注意して!

白い物体を発見!これが天然記念物に指定されている噴湯丘(ふんとうきゅう)です。ここから温泉が湧出しており、長い年月をかけて温泉成分の塊が作られたのです。

自然のチカラってすごいね!

いや~、すごいのひと言・・・自然が作り上げた芸術作品です。

下流に移動すると、もうひとつ噴湯丘を発見。こちらの方が整ったカタチをしています。トクトクと音を立てながらお湯が湧いていました。

川には湧出した硫黄泉が流れ込み、青白く染まり、神々しささえも感じる光景。本当に来てよかった!

野湯探訪の〆として、河原で自作の露天風呂を作って温泉に浸かることに。温泉は湧き立てアツアツの熱湯、川の水はキンキンに冷えた山の水。温度調節が難しかった!でも、目の前の三俣蓮華岳に沈む夕陽を眺めながらの露天風呂、本当に最高でした。

温泉の後は夕食作り!

これも山の楽しみのひとつですね。今回のメニューは、具だくさん豚汁と信州の地酒。同じくここでキャンプする皆さんと一緒に、山トークで盛り上がりながら夕飯のひとときを楽しみました。う~ん、これだから山はやめられない!

名残り惜しくも下界へと戻る

早朝のテント場。清々しい空気。朝風呂にも入れてさっぱりです。このあと約二時間半かけて、昨日歩いてきた道を戻ります。

昨日は気付けなかった景色が見られたりも。

最後の長いトンネル。ここを抜ければゴールの高瀬ダムです。今回の山旅もこれにて終了!歩いてしか行けない秘湯「湯俣温泉」。行くのは大変でしたが、その分たくさんの感動に出会うことができました。

北アルプスにはこんな山小屋温泉もあります!

【連載】教えたいけど知られたくない!信州のスキマ温泉めぐり

長野県の温泉地数は224ヶ所、245ヶ所の北海道に次いで日本第2位!ちなみに温泉利用の公衆浴場数は、654ヶ所と日本一を誇っています。信州の温泉地といえば野沢温泉や渋温泉、別所温泉や白骨温泉などが有名ですね。この特集ではスキマメンバーの力路郎さんが、少し変わった温泉地をさまざまな視点からご紹介します。

教えたいけど知られたくない!信州の温泉特集

公式LINEの友達募集広告

この記事を書いた人

力路郎

北信濃出身・大阪在住の大学生です。趣味は温泉めぐり。暇さえあれば全国の極上湯を求めて一人旅しています。現在300湯に入湯。山奥の湯治宿や鄙びた共同浴場に憧れます。