「寄り道」が冒険と発見をもたらす、山清路。

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山清路(さんせいじ)は、生坂村北部の景勝地だ。

犀川が蛇行し、侵食を繰り返して生み出された深い渓谷。古くから名勝として親しまれ、明治頃までは川下りで進む難所であったらしい。

現在は川と並走するように国道19号線が通り、ダムも整備され「平凡な信州の風景」を見せている。通ったことはあっても、足を止めてゆっくり景勝地を楽しむには向かないかもしれない。

「平凡な信州の風景」こそ美しいと、山清路を見ると改めて感じる。昔とは変わってしまったかもしれないが、山清路の美しさを少しでも味わっていただけたら嬉しい。

山清路を横から見る

「名勝 山清路」の看板があるのは、国道19号線と、大町市へ続く県道55号線が分かれるあたり。川を挟んで向かい側に書かれた文字を気にしたことがある方はいらっしゃるだろうか。

わたしは気になっていたものの、いつも通り過ぎていた。この日は打ち合わせを終えた後たまたま生坂村を案内してもらい、機会を得ることになる。

「看板側」へ行くには、上写真にある「山清路橋」を通る。1934年に開通した現在の橋は3代目、初代の開通は1901年だそうだ。車の場合、橋を渡って県道55号線をそのまま進むと小さな駐車場があるのでそこに停めよう。

山清路橋からは、国道19号線のある「新山清路橋」が見える。開通は1967年ころ。それまでは山清路橋を通り、左脇に見える「山清路トンネル」を通っていたが、現在は廃道になっている。2010年頃までは車道として利用されていたようなので、通った方もあるかもしれない。

山清路を上から見る

山清路には「山清路公園」があり、上から展望することができる。頻度は低かろうが整備の跡が見られ、終始道無き道を、ということはなかった。

19号線沿いからも見える1つ目の東屋へは、バス停横の狭い階段を5分ほど上る。

東屋からは、先ほど通った国道19号線(写真左)と県道55号線(写真右)を望んだ。間に流れる犀川のエメラルドグリーンが光る。真下を覗き込むと、先ほど横から見た山清路トンネルがわずかに確認できた。

百体観音を横目にさらに先へ

東屋からはさらに階段が続く。どうやら2つ目の東屋があると知り、さらに進むことに。

木の丸太を模した欄干や東屋は、平成初期に「ふるさと創生一億円事業」によって設置された(案内人談)。バブル期、各自治体に1億円ずつ交付した大胆な事業。使い方は多種に渡り、無駄遣いの代名詞ともいわれた政策ではあったが、20年以上経った今でもこうして人をワクワクさせることができる「山清路公園」ができたことはよかった、と個人的には思う。

東屋へ向かう道には、ところどころ石仏が置かれている。山清路 金戸山(かなとこやま)の百体観音と呼ばれ、生坂村南会から久保街道を通り金戸山へ登り、広津・鷺の平へ抜ける道沿いやその周辺に点在。

山清路の見える展望台周辺には、秩父三十四番のうち、十六番〜二十六番の石仏が置かれているようだ。名勝を見つつ、霊場巡拝も兼ねるお得っぷり。

2つ目の東屋へ

1つ目の東屋からさらに5分ほど上ると、2つ目の東屋が見えた。どうやら意外と低い位置にあるようだ。ここからさらに階段を上りきってから、一気に下る。

上った分だけ下らなければならないというのは、登山において気が滅入る作業だ。とはいえ東屋は目と鼻の先。

ラストスパート。2つ目の東屋まで来る者は滅多にないのか、草木が欄干を超えて階段にまで侵入している。いよいよ「冒険」という言葉がふさわしくなってきた。

階段の存在さえ疑わせる見事な覆いっぷり。

最後に最大の難所に見舞われたが、どうにか踏み分けて東屋へ。

苦労の甲斐あって絶景が!とまではいえない景色ではあったが、達成感はある。

夏の間はだいたいスリッパ。

ただし雨上がりの道を思いつきのままスリッパで向かったため、わたしの足は予想以上に汚れた。これから冒険に挑戦しようとしている方は、歩きやすい靴で向かうことをおすすめしたい。

寄り道は冒険をもたらす

いつもは通り過ぎてしまう、ちょっと気になる場所で足を留めたら、思わぬ「冒険」が待っていた。冒険の先にはまだ見ぬ「発見」があるかもしれない。

Skima信州では、そんな「寄り道」ばかりをカテゴリにまとめている。「寄り道する日もあって良いかな」と思う方は、ぜひ。

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この記事を書いた人

信州さーもん

スキマな観光ライター。長野県内外、国外を旅します。長野県観光WEBメディア「Skima信州(http://skima-shinshu.com )」代表。道祖神宿場街道滝ダムため池棚田神社仏閣好きな平成生まれの魚。浅い知識を浅いままに増やしています。企画・アイディアを出すのが得意。たぶん。