名前は知っているけれど、そもそもの由来や意味は分からない地名ってたくさんありますよね。身近な地名の由来を解説する地名の謎コラムを始めました。
第2回目は「臼田(うすだ)」を取り上げます!
臼田(うすだ)は佐久市南部にある地名

臼田(うすだ)は、佐久市の南部一帯を占める地域です。2005年に佐久市と合併する前は「臼田町」として独立した自治体でした。明治22(1889)年に臼田村・下小田切村・勝間村の区域をもって臼田村が発足し、切原村
ちなみに同地域を発祥とする苗字もあります。全国に8,000人ほど存在し、そのうち1,000人ほどは佐久市内に住んでいるようです。臼田のほかに「薄田」「碓田」などもあります。
Googleマップで「臼田」をピックアップしてみました。明治時代初期の絵図と照らし合わせると、確かに稲荷山公園から千曲川に沿って北側が元々の臼田村(臼田町)であったようです。
臼田(うすだ)の地名の由来は?

臼田(うすだ)の地名は地形に由来しており、「浅い田んぼ」を意味します。
ウスは「薄い」「浅い」を意味する
漢字の「臼」から餅をつく臼に関係していると思われがちですが、地形地名なので音から考えます。「うす」には程度が少ない、厚さがないという意味があります。つまり「ウスダ」とは耕土の浅い田を表します。千曲川の石や砂の流入による耕土の浅い田から生まれた地名であることが推測できます。
長野県内には湿地が多く、早い時期の稲作は主にこうした土地で行われてきました。こうした湿地の田は「深田」「深町」といわれ、のちに好字の「福」に置き換えられました。「福田(深田)」「福智(深地)」「福島(深島)」などが当てはまります。
臼田は耕作にはあまり向かない土地であるにもかかわらず、開拓を行っていたことがうかがえますね。
長野県内にある「田んぼ」や「畑」の地名
長野県には上田市や池田町、飯田市など田んぼのつく地名がたくさんあります。今回はその中でも「臼田」のように環境の良くない場所でも開拓を行なった様子がうかがえる地名をご紹介いたします。
例えば伊那市や辰野町、八坂村(大町市)にある「日影畑(ひかげばた)」、飯田市の「ワル田」、八坂村(大町市)の「やせ畑」など。ほかに松本市や茅野市の「石原田」、上田市や喬木村の「石田」、松本市の「小石畑(こいしばた)」、八坂村(大町市)や上田市の「石畑(いしばた)」などもあります。
今では考えられないような沢や谷、洞の奥の方まで手が加えられていたことを示す地名も残っており、先人たちの営営として続いた努力と営みが垣間見えました。
「臼田(うすだ)」の地名の由来は?-地名の謎コラム02-

臼田の意味や由来についてご紹介しました。地名はいつ、誰ともなく名付けられることも多いため、推測や資料不足による誤認もあるかもしれません。もし追加資料があれば、どんどん追記していきたいと思います。これも地名の面白さだと思ってお付き合いくださいね。
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